ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

新日鉄と住金、経営統合検討を発表 12年10月めど 粗鋼生産能力、世界2位グループに

2011-02-04 05:14:55 | Weblog
新日鉄と住金、経営統合検討を発表 12年10月めど 粗鋼生産能力、世界2位グループに 2011年2月3日 日経夕刊
 鉄鋼最大手の新日本製鉄と3位の住友金属工業は3日、2012年10月をめどに経営統合をする検討に入ったと発表した。実現すれば粗鋼生産能力で世界2位グループに浮上、最大手アルセロール・ミタルの追撃態勢が整う。自動車や電機など主要顧客が海外進出を加速し、経済発展が続く新興国で鉄鋼需要が急増するなど今後の成長には外需の取り込みが不可欠。統合で国内基盤を強化しつつ海外市場を共同開拓し、世界的な勝ち残りを目指す。
 新日鉄の宗岡正二社長と住金の友野宏社長が、経営統合に向けた交渉を始めることで合意し、会見した。公正取引委員会が認めることが前提になる。鉄鋼業界の大型再編は2002年に川崎製鉄とNKKが統合しJFEホールディングスが発足して以来。
 経営統合比率や新会社の名称、代表者などは今後詰める。新日鉄と住友金属社長を共同委員長とする統合委員会を設置して検討を急ぐ。
 09年の両社の粗鋼生産量を合わせると約3800万トンで世界第4位に浮上する。09年は需要急減で新日鉄も住金も大規模な減産を実施、中国勢が国策で合従連衡を進めたこともあり新日鉄は08年の2位から6位まで順位を落としていた。生産能力を合算すると約5000万トン規模となり、中国勢を抑え世界2位になる可能性がある。
 鉄鋼業は巨大な製鉄所を抱える装置産業で、規模が大きいほどコスト面で優位に立ちやすい。また鉄鉱石と石炭の高騰で今期の鉄鋼業界の原料コストは増えるが、統合で生産量が増えれば原料の仕入れや、鋼材の販売価格交渉で発言力が増す利点もある。
 鉄鋼業界の置かれた環境変化も統合をせかす。製鉄所は国内にしかないが自動車など顧客は円高を嫌い海外進出を加速する。鋼材需要も建設不況の国内は縮むばかりで、伸びるのは中国や東南アジアといった新興国だ。
 新日鉄と住金は輸出で対応しているが、円高による価格競争力低下や顧客の現地調達要望を受けて海外製鉄所の建設が急務だ。ただ製鉄所建設には4000億~5000億円もの巨額資金が必要。仮に両社で共同建設すれば負担も和らぐ。
 両社が統合すれば国内の粗鋼生産シェアは約43%(09年ベース)、主力の熱延鋼板シェア(同)では約半分を占める。ただ中国勢をはじめとする新興国勢の急成長で、粗鋼を世界シェアで見ると2社合わせてもわずか3%。今後は公正取引委員会の判断も焦点となる。
 両社はここ数年間で株式持ち合いやステンレス、建材薄板事業の統合など関係を強化してきた。今では新日鉄が住金株の9.4%、住金は新日鉄株の4.2%を保有するとともに第2位の大株主となっている。

新日鉄と住金が来年10月合併、世界2位に浮上し海外展開加速 2011年02月4日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK052329620110203
 新日本製鉄と住友金属工業は3日、2012年10月をめどに経営統合すると発表した。粗鋼生産でアルセロールミタルに次ぐ世界第2位グループに浮上することで、鉄鋼需要が拡大している新興国を中心にグローバル展開を加速し、技術、品質、コスト面などで世界トップクラスの総合鉄鋼メーカーを目指す。
 新日鉄の宗岡正二社長は会見で「統合は、外圧、敵対的買収、経営危機により余儀なくされたものではなく、両社の自発的判断によるもの」と述べ、グローバル市場に積極的に挑戦するための「最善の選択」と指摘した。同席した住金の友野宏社長は人材、資産、資金の相互活用が統合のメリットで「単純に(生産)量の拡大を狙うのではなく、質と量の最適バランスを追求し、総合力で世界トップを目指す」と語った。
 鉄鋼業界を巡っては、中国など新興国の旺盛な需要で世界の鉄鋼需要は拡大しているものの、鉄鋼メーカー間の競争も世界規模で激化している。また環境規制の強化などを背景に品質向上や技術革新へのニーズが強まっているほか、自動車メーカーなど顧客のグローバル化の進展への対応も迫られている。これらの状況を踏まえ「(統合により)強力な体制を作り、グローバル市場に打って出ることを決めた」(宗岡・新日鉄社長)という。
 2010年の両社の連結粗鋼生産は計4780万トンで、統合により鉄鋼メーカーとして世界第2位に躍り出る。「世界のトップを目指すか」との問いに対して宗岡・新日鉄社長は「量でトップになることは視野にない。技術や品質を含む総合力でトップクラスの鉄鋼メーカーになりたい」と語った。
 ただ、両社を合わせても世界粗鋼生産の3%強のシェアを握るに過ぎず、鉄鋼原料である鉄鉱石や原料炭分野で寡占化を進める資源メジャーに対し、価格交渉力を増すことは期待できないとの見方を示した。

<早期に統合効果狙う>
 両社は3日付で経営統合検討の覚書を締結し、遅くとも12年4月に合併契約を正式に締結する予定。統合は合併による事業持ち株会社の形態を想定しており、合併比率は外部機関の評価を踏まえ、両社が協議して決める。代表者、統合会社の名称、本社所在地などについても現時点では未定。
 合併の形態について住金の友野社長は「スピードをあげて統合効果を出すにはこの方法が一番いいと判断した」と説明した。両社ともフィナンシャルアドバイザーはこれから選定する。公正取引委員会との話し合いもこれから行う。新日鉄の宗岡社長は「両社の得意分野が重なっていないため、十分に理解をもらえると思う」と語った。
 新日鉄と住金は02年にアライアンスを開始し、鉄鋼半製品の相互供給や子会社の事業統合などで競争力の強化を目指してきた。住金の友野社長は「これまでの8年間で新会社を作ったり、人事交流をしたりして、互いに信頼関係ができた。経営統合は大仕事で困難も伴うが、必ず克服できる」と述べた。
 両社と提携関係にある神戸製鋼所(5406.T: 株価, ニュース, レポート)に対しては、経営統合の方針を既に伝えたという。新日鉄の宗岡社長は「神戸鋼とのアライアンスも効果が出ており、関係は継続していく」としたが、今回の統合には関与しないと述べた。
 「鉄鋼メーカーとしての総合力向上のため国内外で他社と提携したり、他社が統合会社に合流する可能性は」との問いに対し、宗岡社長は「今の段階では何とも言えない。大変意義があるものならあるかもしれない」と含みを持たせた。
 国内の高炉を含む生産設備の統廃合の可能性については「統合や再編ありきで考えるのでなく、何が新会社にとってベストかを考えていく」(住金の友野社長)とし、統合に伴うコスト削減の具体策については言及しなかった。

<市場関係者は前向きな評価>
 東京株式市場の引け後に発表された経営統合について、市場関係者は総じて前向きに捉えている。CLSAのアナリスト、ジェレミー・カプロン氏は「統合による新会社はアジアで競争力の高い会社になれるチャンスがある。建設、車両、シームレスパイプなど幅広い商品ラインアップがあるだけでなく、最良の商品を持つことになるためで、極めてユニーク。アルセロールミタルもそのような商品ラインアップはない」とみている。
 ちばぎんアセットマネジメントの安藤富士男専務も「(統合は)とりあえずプラス」と評価する。ただ「(日本の鉄鋼メーカーは)数量ベースでは話にならない。中国、韓国、インド勢もいるし、あとは質でどこまで頑張れるかだ」と述べた。


新日鉄・住金:神戸製鋼幹部「合併に加わる予定ない」 2011年02月04日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110204k0000m020099000c.html
 新日本製鉄と住友金属工業の合併方針により、両社と資本提携を結んでいる神戸製鋼所の動向が注目される。
 3社は、JFEホールディングスに対抗する形で、02年から提携関係を強化させてきた。10年3月期末では、神戸製鋼は新日鉄株の0.8%、住金株の2.3%を保有し、新日鉄と住金はそれぞれ神戸製鋼株を3.45%ずつ保有している。
 住金の友野社長は会見で、3社での合併に発展する可能性については「コメントは差し控えたい」と口を閉ざした。神戸製鋼のある幹部は「うちは規模を追求するスタンスではない。現段階では、両社の合併に加わる予定はない」とする。だが、このままでは神戸製鋼だけが業界再編から取り残されてしまう。このため、幹部は「将来も規模を追わなくていいかどうかは分からない」と今後については含みを持たせている。
 ある外資系アナリストは「神戸製鋼は建機事業が経常利益の3割強を稼ぎ出す構造で、鉄鋼会社以外に建機メーカーという顔もある。他の鉄鋼会社とはやや事情が異なる面もある」と分析する。

新日鉄・住金:鉄鋼再編の呼び水に JFEや韓国など注視  2011年02月04日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110204k0000m020102000c.html
 新日本製鉄と住友金属工業が3日発表した合併計画が実現すれば、粗鋼生産量で世界第2位となり、鉄鋼業界の勢力図に大きなインパクトを与えそうだ。新日鉄が01年に
世界首位から転落して以来、日本勢はインド出身の鉄鋼王、ラクシュミ・ミタル氏傘下の「アルセロール・ミタル」や中国メーカーの後じんを拝してきただけに、今回の動きは
日本勢の反撃にも映る。現在国内2位のJFEスチールを核とするJFEホールディングス(HD)や韓国勢を刺激するのは必至で、新たな再編の呼び水になる可能性もある。




 ん…。これまでも都銀などで旧財閥を巻き込んだ経営統合はありましたし、両社は広範な業務提携や建材薄板事業の統合など関係を強化していただけに、驚きよりも『とうとう経営統合の検討を行いはじめたか…』というのが正直な印象ですが、もしこの両社が経営統合すれば、最大手アルセロール・ミタルに次ぐ世界2位グループになるだけに、公正取引委員会の動きや経営統合の行方は非常に気になりますね。
 まあ、日本だけで順位争いをしていた時代ならばそれ程気にすることもなかったのでしょうが、アルセロール・ミタルも業界トップ企業とはいえ世界シェアは数%に過ぎず、各社の技術力狙いで日本の鉄鋼会社に時価総額の大きさをもって敵対的買収をしかけることも決して非現実的な話とはいえず、トップの新日鉄はともかく、それ以外の企業は敵対的買収に備える意味でもどの陣営と提携あるいは一緒になるかを真剣に模索せざるを得ない状況に追い込まれていたと思いますし、2007年10月に発表した業務提携ではこの両社に神戸製鋼所も加わっていたのですが、今後神戸製鋼所もこの大合同話に参加していくのか、はたまた日本2位のJFEホールディングス(川崎製鉄+NKK)と他の国の鉄鋼会社や国内3位以下との提携もあるのか…。
 いずれにせよ、この大手同士の統合は世界の鉄鋼会社も巻き込んで一段と業界再編を進める新たな再編の呼び水になる気がします。