日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

今野敏ミステリー「スクープ」「宿闘」

2009-07-03 | 読書
読書好きの人が「警察小説は外れがない」と言っていた。
近ごろは警察ミステリーがブームになっている。
刑事達の隠語が連発され、○暴(暴力担当)は一般化され、
○害(被害者)も通じるようになった。
リアルで実際に近い(本当かどうかは知らないが)雰囲気を醸し出している。
警察物は途中からホラー化しないので肩透かしがないので安心して(?)読める。

警察物は堂場瞬一の刑事鳴沢亨から読み始めたが
今野敏は昨年春から夏に7冊読んでいたが
久しぶりに読んで見た。



「スクープ」テレビ報道番組の遊軍記者布施が主人公
細身で何処にでも違和感なく溶け込み、警戒心を抱かせない不思議な人物
夜ごと盛り場をうろつき、寝不足の顔と頭で担当プロデューサーをイラ付かせる。
なのに、事件深くまで潜り込みスクープをモノにする。
事件性がはっきりした所で警視庁捜査1課の黒田刑事に引き継ぐ。
暴力にやられっぱなし、プロデューサーの小言も言われっぱなし
だが、柳に風の風情。
「スクープよりも、事件よりも渦中の人を救いたい」
記者よりも刑事に近い心境なのかも知れない。

今野敏の経歴は上智大学在学中に第4回問題小説賞受章
東芝EMI勤務後専業作家となり
昨年、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞受章
さらに空手3段、棒術4段で「今野塾」を主宰
青白い顔をして昼夜逆転の作家生活とは異る人物像

「宿闘」は刑事が主導権を握っているものの
元(?)武闘家の整体師が犯人の武器(身体)を探る
芸能プロダクションの役員2人が殺害され
みすぼらしいなりの犯人が素手で戦い失神させ、数時間後に死に至らせる。
この武術はなにか?
刑事の挑発に乗り、歴史的な対馬に犯人の武術を探しに行く

この2作は今野敏の経歴を生かした作品
芸能界の裏を知り、日本古来の武術をの様を知り、付け刃では描けない。
様を知るだけに描写は丁寧、説明も詳細緻密だが
先行きを知りたい読者は「早く・はやく」飛ばしてしまうが・・

・・だがしかし、
外れがなくて面白過ぎる小説も警戒ランプが点滅
著作が多くてとても読み切れない。

次は「外れ本」の口直しに取っておこう。
コメント
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