本日の深海魚は、奇妙な形状をしているキホウボウPeristedion orientale Temminck and Schlegelです。
キホウボウ科の魚はインド・太平洋、大西洋の深海に生息しています。日本近海には16種が知られていますが、本種はその中でも数が多いものです。水深200~500mから底曳網で漁獲されます。
キホウボウの仲間には大きな「吻突起」というものがあり、この形状が同定の重要なポイントとなっています。本種ではこの突起の先端が細長く、先端が外側に向かって開くことで日本産キホウボウ属のほかの種と区別できます。また、キホウボウ属は日本産の他属とは、前鰓蓋骨に大きな棘がないことで区別されます。
キホウボウ背面
キホウボウの仲間はトロールでも一度の航海で何種類かが漁獲されます。しかし利用価値は殆どなく、殆どが廃棄処分されてしまいます。今回の乗船では本種のほかに少なくとも4種類のキホウボウが採集されました。土佐湾から高知沖の深海はキホウボウの楽園となっているのでしょう。