本日紹介する深海魚は、昨日に引き続きカサゴの仲間のイズカサゴScorpaena neglecta Temminck and Schlegelです。イズカサゴはやや深い岩礁域に生息するフサカサゴ科魚類です。
このイズカサゴはフサカサゴ科なのですが、昨日のユメカサゴと違う「フサカサゴ亜科」に分類されています。フサカサゴ亜科は背鰭軟条が9以下(ユメカサゴが含まれるメバル亜科では通常11以上)で、多くの種で頬に隆起線と大きな棘があることで区別されます(中坊編, 2000)。日本産は15属、約45種が知られています。本種はそのなかのフサカサゴ属に含まれます。
本種は水深100~200mの岩礁域・砂底に生息する種で、肉食です。食性は小魚や甲殻類などです。
カサゴやメバルの類は卵胎生ですが、本種は卵生とされています。近縁種ではゼラチン質の袋に包まれた卵を産むものが知られています。
フサカサゴ属は世界で約60種が知られ、その中には有用な食用種も多く含まれます。地中海産のScorpaena scrofa Linnaeusは有名な地中海料理の食材ですし、北米産のカリフォルニアカサゴScorpaena guttata Girardは日本にも輸入されています。
日本には4種類が分布し、フサカサゴScorpaena onaria Jordan and SnyderとコクチフサカサゴScorpaena miostoma Güntherについては釣り人の間でも殆ど分けられません。また近年、クレナイフサカサゴScorpaena brevispina Motomura and Senouというわが国で4番目の種類が記載されました。
何れも毒棘をもつといわれ、取り扱いには十分注意したいものですが、非常に美味しい魚です。但し高価なものであまり手は出そうもないですが・・・
2008年2月、宮崎県産