魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

深海魚37.ツマグロアオメエソ

2009年06月21日 11時44分34秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日紹介するのはヒメ目アオメエソ科のツマグロアオメエソChlorophthalmus nigromarginatus   Kamoharaです。

ツマグロアオメエソは南日本から東シナ海に生息するアオメエソ科の魚です。本種は全長25cmとアオメエソ科としては比較的大型になる種です。

本種によく似たものにトモメヒカリChlorophthalmus acutifrons   Hiyamaという魚がいます。本種では尾鰭後端が暗色になるのに対し、トモメヒカリはそうなりません。しかしそれでは曖昧な形質のものも出てくるので、確実に同定するならば、下顎を見るのが一番です。日本産魚類検索 第二版(2000)によると口腔下顎に外歯が3列あるのが本種、2列なのがトモメヒカリとされています。

本種もトモメヒカリもこれまであまり需要がなかったのですが、近年は人気の魚です。本種は大型種でトモメヒカリと共に練り製品や焼き物用としての需要があります。

2009年2月に採集されたツマグロアオメエソ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚36.アラ

2009年06月20日 08時30分09秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日は深海性のハタ科魚類である、アラNiphon spinosus   Cuvierをご紹介します。

中型トロール漁でもハタの仲間は漁獲されるのですが、今回はこのアラと小ぶりのマハタ以外のハタ科ハタ亜科魚類は見られませんでした。アラはスズキによくにた魚ですが、体側にスズキには見られない縞模様があること、前鰓蓋骨下方に大きな棘があることで区別されます。ただしこのうち縞模様の特徴は老成魚では消失します。

ハタ科魚類は肉食性の魚でこの個体は水深200mからニギスの大群とともに漁獲されました。このときは全長50cmほどの個体も揚がりました。最大で1mにも達します。

アラといえば、九州での「あら鍋」が有名ですが、実はこの場合の「あら」とはクエなどのハタ科マハタ属魚類をさします。これは九州でこの類を「あら」と呼んだことに由来します(以前のアオハタの項でも書きました)。このアラ、大物はなかなか漁獲されず、一般家庭で簡単にお目にかかれる魚ではないかもしれません。私もいつかは食べてみたい。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚35.アオミシマ

2009年06月19日 19時15分52秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日紹介するのはミシマオコゼ科のアオミシマXenocephalus elongatus   (Temminck and Schlegel)です。さてこの魚にはミシマオコゼやヤギミシマとは大きく異なる点があるのですが、どこかおわかりでしょうか。

ミシマオコゼやヤギミシマの背鰭は2基からなるのですが、本種の背鰭は1基からなっています。日本にはこの特徴を持つミシマオコゼ科魚類は本種を含め2種が知られるのみですが、海外産の種では背鰭が2基になるものよりも1基のみの種が多いようです。

わが国ではミシマオコゼは最近になってようやく見直されるようになった種といえますがニュージーランドでは大型のミシマオコゼ類が何種か知られており、それらは重要食用魚となっています。その一つ、ミシマオコゼ類中では最大のオオミシマKathetostoma giganteum Haastは本種と同じく、背鰭が1基からなるようです。ですから同じく背鰭が1基の本種は美味しいのではないかとも思われますが、味はまあまあといったところですね。

アオミシマの幼魚です。体側背部に黒色斑点が多数見られます。成魚でもみられますが、不明瞭です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚34.ソコマトウダイ

2009年06月18日 07時20分23秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日ご紹介する深海魚は、マトウダイ目ソコマトウダイ科のソコマトウダイZenion japonicum   Kamoharaです。

ソコマトウダイ科魚類は、本邦からは1種のみが知られています。本種の口が垂直位であり、カゴマトウダイやベニマトウダイなどと区別できます。また、腹鰭に大きな棘がありますが、これもベニマトウダイとの識別点となっています。ソコマトウダイ属魚類は世界で4種が知られています。

口は垂直位ですが、この口は自由に伸び縮みさせることができます。胃内容物から察するに、動物プランクトンや小型甲殻類などを捕食するのでしょう。

水深200m以深でよく漁獲されますが、食用にはされないようです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深海魚33.オキトラギス

2009年06月17日 14時31分36秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

今回は深海性トラギス科魚類のオキトラギスParapercis multifasciata   Döderleinを紹介いたします。これもトロール、もしくは深海釣りのメジャーどころです。

 

オキトラギスは水深50~150mくらいのポイントで多く見られる魚です。本種の特徴としては、体側上方に暗色帯が、体側下方に黄色帯があり、尾鰭基部に暗色紋がある、尾鰭に黄色帯があることです。

オキトラギスは全長15cmていどの小魚ですが、貪欲な肉食魚で、ゴカイ類や小魚、甲殻類などを捕食しており、それが故に釣りの外道としても親しまれます。イズカサゴやマダイ、アマダイ、キダイ釣りの外道で釣れるのだと思われます。

本種を含むトラギス科魚類は、スズキ目、ワニギス亜目に含まれます。昨日紹介したミシマオコゼや、北国のメジャーな食用魚であるハタハタなどもこの仲間です。トラギス科魚類は近年、分類の再検討が行われています。現在では世界で7属、78種が記載されています。日本にはそのうち3属27種類が知られています。日本の最大種は沖縄産のワニトラギスで30cm、世界最大種は南米アルゼンチンに産するPseudopercis numida   Miranda Ribeiroで、1.2mを超えます。

深海性のトラギスは本種のほかに何種類かいるのですが、これについてはまた改めて紹介したいと思います。

2008年10月、高知県産

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする