草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

大量殺戮を招来した知識人を批判した永井陽之助!

2015年02月03日 | 思想家

永井陽之助を読む直すべきではないか。とくに、彼が昭和60年に東京工業大学で行った最終講義は、多くの示唆を与えてくれる。「20世紀と共に生きて」と題するもので、永井は「知のグノーシス主義」として、パズルを解くようにして世界を解釈する者たちを痛切に批判した。彼らがもたらした悲劇を、リアリスト永井は直視した。20世紀は大量殺戮の時代であったからだ。「ヨーロッパ内戦といわれる第一次大戦で約1300万人、第二次大戦で5000万人、さらにスターリン、ヒトラー、毛沢東からクメール・ルージュにいたる政治体制下の、ラーゲリや強制収容所の生き地獄で傷つき死んでいった政治の犠牲者は、すくなく見積っても、億の単位に達することはほぼ確実である。故周恩来首相がかたったと伝えられるように、中国の文化大革命の犠牲者だけでも、日中戦争の犠牲者の数をはるかに上まわるといわれている」。イデオロギーが人々を大量殺戮に駆り立てたのであり、その最たるものがマルクス主義であった。イスラム過激派もその範疇に属するのはいうまでもない。これに対して、永井が示した処方箋は傾聴に値する。「われわれは、よりよい状態を夢見て、この地上に楽園を創りだそうとするまえに、より悪しき状態におちこむことを回避し、現実を少しでもより耐えやすいものにするには、何をなすべきか、また何をなすべきではないかを真剣に考えるべきときなのである」。保守主義の原点がそこにはあるのを、我々は再確認すべきだろう。


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