国家は安易に否定されるべきではない。今の台湾の動きを見てみればいい。今年1月に蔡英文総統が誕生したことで、台湾は独立の道を加速させている。自由と民主主義の価値を重んじる点では、日本と共通している。日本が大東亜戦争に敗れた後は、台湾は中共から逃げ出してきた蒋介石の国民党に支配され、元々の台湾人は幾多の苦難を強いられてきた▼昭和50年代になって第三次国共合作が行われ、国民党は中国共産党の軍門に下った。それだけに台湾の人たちは心から独立を求めている。昭和46年に中共が国連に加盟することが承認され、その時点で一つの中国が決定的になった。それ以降は国民党政権が力を失い、独立を目指す人たちが力を持つにいたったのである▼保守派の論客であった葦津珍彦は戦後早い時期から、今の事態を予言していた。昭和36年1月にアメリカのケネディ大統領が「人類の自由のため」と就任演説で語ったのを受けて、葦津は大西洋憲章を引用しながら「いかなる地域の人民も、その自由意思によって統治の様式を決定する権利を有すること、人民の意思に一致せざる領土の変更を認めないことの原則が表明されている」(「ニュー・フロンティアの外交」)と書いた▼一日本人として台湾人の独立を訴えたのである。自分たちの国家がなければ、困るのは自分たちなのである。日本人がコスモポリタンになって喜ぶのは誰だろう。台湾の人たちの苦悩を我が苦悩と日本人はすべきなのである。
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