お軸の画は、木の枝に美しい鳥が留まっている。木には白の花が咲いている。お茶の木のようである。え、お茶の木に花が咲くの? 茶畑からは想像がつかないが、白い椿に似た美しい花が咲く。お軸の中の、枝に留まる青色鮮やかな鳥は「瑠璃鳥」だという。
ちょうどいまが、お茶の花が咲くころ。新茶の春ではなく10月から11月の下旬ごろにかけて見ごろ。しかしながら、咲いているお茶木は見たことがない。ただ、以前お茶席に茶花として活けられてあったことを思い出す。
茶畑でも花はわずかしか咲かず、見かける機会は大変少ない。それは、農家が育てる茶畑では、茶葉の新芽への養分を多くするために、花が咲く前のつぼみの時期に摘み取りしてしまう。摘み取り残しが花を咲かせている場合があるらしい。茶木は、花より団子ではないが、周知のとおり花より葉なのである。
茶木はむかし、路地裏に生えることも多かったようである。花が開花するときは、葉の裏にそっと咲いて非常に控えめな印象を与えるので、冬の季語として俳句などに詠まれる場合が多かったようである。
このお軸の画は、この詩より想像され描かれたもののようだ。
伊軋籃輿不受催
湖南秋色更佳哉。
青裙玉面初相識
九月茶花滿路開。
籠台から眺める湖南の秋は美しい。
道沿いに咲くお茶の花は満開、
地元の青いスカートを履く女の子と楽しい会話もはずむ。
という意味になる。女の子を、茶木の枝に留まる瑠璃鳥にたとえ描いているようだ。
湖南のお茶はいまも有名である。秋を思えば、雁が音のまろやかさが恋しくなる。
リポート/ 渡邉雄二 参照/ 文人会一茶庵稽古より お茶の写真/ BTANICAより転用
尾道・文化紀行 https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/
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