「達磨大師」と「不識」が新たな境地をひらく
瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)襖絵が特別公開されている。
「不識(ふしき)」。達磨大師の言葉。
この意味は、「しらない」という意味の言葉である。
建仁寺の書院に「達磨大師」と「不識」という言葉が描かれたお軸があった。
見ると、絵には「細川護熙」、文字には「建仁寺管長」とその下に管長の名前だろうと思われる落款が押されてあった。
現在、「細川護熙 美の世界」瀟湘八景図(しょうしょうはっけいず)襖絵が特別公開されている。
ご存じ、元総理大臣の細川護熙さんが1年がかりで描かれ襖絵である。
瀟湘八景図は、景勝地として名高い洞庭湖(中国湖南省)付近の景観を絵画化したもの。
中国の山水画の伝統的な画題の一つで風光明媚な8名所を描く。細川さんは6面の襖に8つの風景を描いている。
その大書院の床の間に、この達磨さんの絵が掛けてあった。
総理時代の細川さんのイメージからは想像できない力強さが伝わってくる。
独特のタッチに惹かれるものがあった。
そして賛の「不識」が、達摩さんが発した言葉の勢いそのままに踊っているかのように見えた。
生まれてから身につけてきた知識や経験に惑わされることなく、
それらを完全に捨て去ってこそ、「不識」を体得することができる、という禅の教えがこのお軸から伝わってくる。
細川さんは、政治の世界から完全に身をひき陶芸や画の世界で活動されている。
このお軸から細川さんが目指す先がおぼろげながら見えてくるようだ。
すべてのものを捨て去り、惑わされることのない新たな境地が見えているのかもしれない。
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