江戸時代まで1,000年以上にわたり、日本の暦は、月の運行に基づいた「月暦」を使っていた。
「月暦」は、正式には、太陰太陽暦という。旧暦ともいう。
明治開化後、西洋の暦「太陽暦」を取り入れた。これが、私達が今使っている、カレンダーの暦だ。グレゴリオ暦とも、新暦ともいう。
ここで大事なことは、旧暦と新暦にほぼひと月の誤差があり、旧暦が遅れていること。
例えば、今日、新暦の10月23日は、旧暦ではまだ9月16日、十六夜(いざよい)である。一月と七日遅れている。
これは、新旧が併記されている暦があれば、簡単に確認できる。
俳句を始めて気が付いたのだが、旧暦から新暦に変わって、うまくないことが山ほどあるのだ。
例をあげて説明してみよう。
① 正月
新暦の場合、正月のあとに一番寒い大寒(1月23日ころ)がやってくる。
しかし、旧暦の場合、一ト月遅れだから、立春の頃が正月だ。年賀状に新春とか初春と書くのも、旧暦だからこそなのである。
中国など東南アジアでは、旧正月を大事にしている国が多い。
② 七草(七種)
1月7日に、春の七草を食べる風習があるが、これもあくまで旧暦でのこと。
新暦の正月では、寒くて七草は生えていない。
③ 西行忌は、旧暦の2月16日。
旧暦の2月16日は、新暦では3月末、つまり桜の咲く頃である。
願わくば花のもとにて春死なむその如月の望月のころ
と西行は詠っている。
如月(2月)の満月の頃、15日に死にたいと言っている。つまり、お釈迦さまが亡くなった日だ。
西行は、断食をして、2月15日に死のう、と計画し、一日違いで死んだのではないか、と言われている所以である。
というわけで、上げ出したら切りがないので、このへんで止めておくが、
旧暦の載っている暦を手に入れて、月の満ち欠けなどを毎日チェックしてほしいものだ。
日本の伝統的な様々な行事が、旧暦で行われることを、私は切に願う。