人は、「お若いですね、とても八十歳には見えません。」などと気軽にお世辞を言う。言われた方も、まず不愉快な顔はしないから、まんざらではないのだろう。
さて、八十路ともなればどんな集まりに参加しても、既に長老として気配りを受ける立場のはずなのだが、なかなかどうして、この句の方は、若い人達に頭の下がるような気配りをしている、というのだ。
明治、大正、昭和一ケタ生まれの気骨のある精神に、戦後生まれなどは到底太刀打ちできない。
そういう方だから、きっと身なりもきちんとしているだろうし、お洒落な冬帽子を被っているに決まっている。