一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

76   うしろすがたのしぐれてゆくか   山頭火

2010年11月26日 | 

「自嘲」と前書きの付いたこの句、かの有名な山頭火の句である。 

なんと言っても、山頭火の人気はすごい。日本各地に句碑もあり、山頭

火の会などもある。ドラマにもなったりしている。

もしかして、人気の点では芭蕉を凌いでいるかもしれない。

 

さてこの句、「自分を客観視している」というよりも、「背後から誰

かに見られていることを意識している」感じがする。

 

例えばこれは、ある人達との別れのシーンだ。行脚を続ける山頭火

は、別れを告げて歩き出す。振り返ってみると彼らは、まだ立ったま

まこちらを見ている。再び頭を下げる。彼らも頭を下げる。なんとも

バツの悪い時間だ。

彼らに嘲られているのではないか、という思いが「自嘲」という前書きになったのではないかと、私は想像する。

 

 それは、彼の被害妄想だったのかもしれないが、事実だった可能性も強いのだ。

 

 

 

コメント
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