寒林をけものの如く突き進む 豊春
寒林を透けて現る大甍
湯の町の路地は寂れて蜜柑売る 薪
初買は遠近両用眼鏡かな
ねんごろにみがきし墓のしめかざり 歩智
きのうより長いぞ今朝の霜柱
お正月雑魚寝の中に猫二匹 炎火
正月やグローバル化のスポンサー
炭はぜる音に親しむ夕べかな 稱子
小春日や時計の音とまどろみと
掻かされし家内の背中大寒し 遊石
羽子板の音はすべてをぬぐいさり
元朝や仮なる命夢幻なり 章子
大寒や連れ戻したし魂を
冬椿活けるつめたさ寒の入 一煌
大寒やかげの花さく雪道に
北風吹くや表日本は真澄み空 洋子
大寒や凛と寄り添う盲導犬
特養の入居叶いて今朝の寒 余白
春を待つおいらは末期高齢者 雲水
大寒や胸を開けし観世音