:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 精神病院での新型コロナ感染拡大 ー 人権状況も危機的

2021-03-15 00:00:01 | ★ 新型コロナウイルス

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精神病院での新型コロナ感染拡大

人権状況も危機的

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みなさん、《おりふれ通信》というのをご存知ですか。私は以前からの購読者です。

 昨日届いた3月号には、表題の通りの短い記事がありました。その内容は ≪続〕ウサギの日記≫の愛読者の皆様にも是非シェアーして頂きたいと思い、「インドの旅」をひとまず置いて、以下に転載いたしました。

 

 

精神科入院者が曝されている危機

 

新型コロナウイルス感染流行の中、精神科入院者はかつてない危機にさらされている。

1つ目は、精神病院では大規模クラスターが多発し、国内の感染率の4倍ものリスクにさらされている危機。2つ目は、コロナ対策の名のもとに面会も外出も極端に制限され、人権状態が危機にある。

 

閉じ込められながら国内感染率の4倍

 

私は「精神科病院・コロナ」などの複数のキーワードによるGoogleアラート検索と病院のWEBサイト、自治体のコロナサイトなどをチェックして、精神病院における新型コロナ感染状況を集計してきた。

 その結果、把握できた分だけで、2021216日時点で、73病院入院患者を含む院内感染があり21病院では収束していない。陽性患者数2,842人、死亡患者数47人、陽性職員ら802人で合計3,644人だった。報道されない院内感染も多く、病院のサイトのチェックで偶然見つかることも多い。したがって、全ては把握しきれないが、少なくとも入院患者の感染は国内感染率の4倍、死亡率4倍と驚くべき状態だったのだ。100200人のクラスターとなっている病院ほど、死亡などの転帰や指定医療機関への転院者数を明らかにしない傾向がある、実態の把握は困難だ。職員のみの感染は72病院よりはるかに多く、集計では省いた。

 感染率、死亡率は、東洋経済オンラインの「新型コロナウイルス国内感染の状況」の最新集計から。(報道でつかめない総合病院・大学病院の精神病棟入院者は含んでいない)

 

大規模クラスターが多発

 

 患者と職員を合わせた院内感染規模で5人以上が「クラスター」と呼ばれる。1~4人:13病院、519人:13病院、2039人:13病院、4059人:10病院、6099人:14病院、100人~199人:7病院。200人以上:3病院。私が把握した73病院のうち88%にクラスターがあり、40人以上のクラスターは47%にもなる。しかも、100人超が10、そのうち3病院は200人超と爆発的である。しかし、ほとんどテレビで報道されることはない。

患者のみの感染を見ていこう。精神科病棟は5060人規模なので、患者の感染が30人以上のところは病棟の大半が感染しているのが34病院、50人を超えると一病棟がほとんど感染で19病院、50人を超えると一病棟がほとんど感染で19病院、そのうち100人超は8病院で、190人超は2病院もある。2つの病院はぜん病棟の約7割が感染している。

 障害者施設、高齢者施設など自由を制限されている人たちの集団収容施設は、新型コロナ感染に極めてもろい。しかも、医療機関としての人員が少なく、防護具、感染症対策のトレーニングが十分ではない。

 

人権状況も危機的

 

昨年3月、神戸市の郊外にある神出(かんで)病院で長期にわたる意図的で悪質な入院患者への集団虐待が発覚して、6人の看護師らに実刑判決が確定した。おそれていたのだが、今年1月に病院で入院者59人を含む73人の新型コロナのクラスターが発生した。同病院では、過去にはインフルエンザに感染した患者4人を一部屋に閉じ込める違法な複数隔離が行われており、昨年、神戸市より改善命令が出ている。適切な医療の保障も心配されている。

三密状態で収容される精神病院はコロナ感染にとてももろい。閉じ込められながら国内感染率の4倍、死亡率4倍にさらされるのは極めて不条理だ。その上、感染対策で外出も面会も制限され、退院促進にも支障が出るなど、人権状況も危機的になっている。大阪精神医療人権センターでは、訪問や面会活動が困難な状況だが、リモート面会の実践と普及に向けて取り組んでいる。コロナ禍によりそのリモート面会さえ中止する病院も出ている。通信・面会は保障されないといけない。

 

精神病院中心から地域精神保健への転換を

 

人口当たり精神病棟数はOECD平均の4倍という収容率だ。約半数が強制入院で、人口当たりの強制入院率は欧州平均の10数倍、平均在院日数はOECD平均の約10倍、閉鎖病棟が7割。こんな国は日本の他にない。

はからずもパンデミックが日本の精神医療の転換すべき根本的な課題を浮き彫りにした。

 治安と医療経済優先の精神病院収容主義から抜け出して、病床を削減し、退院促進とともに医療人員も地域医療に出ていくべきだろう。そして尊厳を軸とした地域精神保健に転換すべきではないか。

 

 

上は《おりふれ通信》に載った有我譲慶(ありがじょうけい)(認定NPO法人大阪精神医療人権センター理事・看護師) の記事を (一部省略して) 転載したものです。

イタリアでは1998年に新たに制定された法律に基づいてすべての精神病院が機能を停止し、入院患者たちは巷間に大挙流出しましたが、イタリア社会はそれを寛大に受け止め吸収しました。それに引き換え、日本はソルジェニーツィンの言葉を借りればまさに「収容所列島」の観を呈しています。

有我氏のレポートを見ると、小池都知事や国の発表するコロナ患者の日ごとの数字が嘘っぽく見えてきませんか。保健所から上がってくる数字の中に、精神病院のクラスターや、自主的に民間のPCR検査を受けて陽性と判明した人の数は、正しく反映されていないに違いないことは誰の目にも明らかではありませんか。実際にはその何倍ものコロナ陽性患者が国内に潜んでいることを念頭に置いて行動しなければ、足をすくわれることにもなりかねません。

 

私は、古典的な呼び方では「早発性痴呆症」と呼ばれた不治の病(その後「精神分裂病」と呼ばれ、今は「統合失調症」と呼ばれて「不治」の烙印は取られましたが)の疑いで閉鎖病棟に入れられた妹を社会に奪還するために、家族や社会の偏見と闘いました。そして、20年ほどかかってやっと専門医から「寛解」(かんかい=精神病の症状が消えて安定すること)したとのお墨付きをもらい、一応≪成し遂げた≫と思って退院した妹を家族に託し、自分は長年温めていたカトリックの司祭職への理想を実現するためにローマに渡って神学の勉強を始めました。しかし、悲しいことに、家族は妹を再び閉鎖病棟に入れてしまったのです。私は夏休み毎に帰国し、妹を見舞って、毎年「あと○○年したら神父になって帰って来るから、そしたらまた一緒にやり直そう」と言って励ましてきたのですが、私が司祭になる1か月前に彼女は病院の中で自死してしまいました。

私は聖書のよきサマリア人と正反対の態度をとって、彼女を死に追いやってしまったのです。神父になる勉強をやめて、すぐに帰国して妹を引き取っていたら、今頃彼女は生きていたはずなのに、自分の都合で、妹は劣悪な環境に耐えながらも、待っていてくれるものと勝手に決めて、自己実現を優先していたのです。悔悟の念と罪意識は私の司祭職の裏に張り付いています。

現在、精神疾患による入院患者数は28万人(2017年厚労省調査)、内、入院1年以上17万人、5年以上9万人もいます。そこがコロナウイルスのクラスターの温床であり、死亡率は外の社会の4倍にものぼります。

私たちは、社会から忘れ去られた彼らのために祈ることしかできないのでしょうか。

 

 

妹の病との戦い、私の神父になる経緯は、私の最初に一冊「バンカー、そして神父」-放蕩息子の帰還―(亜紀書房)に詳しく書きました。興味のある方はお読みください。👇

 

https://books.rakuten.co.jp/rb/16471512/?l-id=search-c-item-img-01

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (8)
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