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〔速報〕 キコのシンフォニー「復活」!!
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シンフォニー「罪のない人々の苦しみ」
私は二つ前のブログに、「《キコからの電話》シンフォニーは中止」という記事を書いた。
サントリーホールを予約して準備に入ったコンサートが、中止になった前例が皆無だったとは思わない。しかし、そのほとんど全てが、コンサートの主役である指揮者か演奏家の健康上の理由によるものであったろう。仮に他に事情があったにしても、健康上の理由を表に出して直前に撤退するのが誰も傷つけない大人の演出というものだ。
それが、事もあろうに道半ばにして、主催者側の内部事情で一方的に中止というのは、みっともなくて絵にならない。一体どんなずさんな企画で始まったのか、とあきれられるのが落ちだろう。表面的には東京が中止なって、代わりにソウルでコンサートが開かれるようにも見えた。第三者から見れば理解に苦しむ迷走ぶりだが、私はコメントした。
「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。」と説いたイエスは、人生の最後に十字架の上で壮絶な死を遂げて自らの言葉を実践して見せた。そして、その結果三日目にどんでん返しの復活の栄光に輝いた。・・・・・・・・ 私はあっさりと撤退を告げたのだが、心は自分でも信じられないほど平安だった。神がおられるのなら、またイエスが本当に復活したのなら、この選択は必ず相応しい実をむすぶはずではないか。ソウルのコンサートを祝福し、その成功のために祈ろう。韓国、こころからおめでとう!
私は、早速、サントリーホール、東京と福島のホテル、リハーサル会場、バス会社、その他の予約をすべてキャンセルした。一部には違約金や迷惑料まで発生した。だが、個人としては、本番まで緊張して走り回る必要がなくなり、気分はサバサバ、ホッとして開放感さえ味わっていた。
ところが、中止の電話から3週間後の8月3日、再びキコから電話があった。今度は何だ? と、緊張した。
「先の《中止》は取り消し。予定通り来年5月7日にサントリーホールでコンサートをやる。準備しろ!」
「呆気にとられた」という日本語は、このような場面の為にあることを思い知った。なんでそんなにコロコロ変わるの? もし、そんな可能性があったのなら、どうしてよく見極めもせずに早々と中止を申し入れてきたのか?
しかし、キコにはキコの事情があった。今年5月5日の「ラグ・ボメール」という殉教者の祭りに合わせて、世界中のユダヤ教のラビ(教師)たちを集めてドームスガリレアで開いた集いが、キコの予想をはるかに上回る大成功をおさめたことが、そもそも番狂わせの発端だった。期せずして、来年も同様の「キリスト教とユダヤ教の対話」の集いを続けよう、という機運が双方から盛り上がったのだ。
来年もユダヤ教の同じ祭りに合わせて集いを開くとすれば、また5月5日を含む数日ということになるが、それは先行する5月7日のサントリーホールとモロにぶつかって両立しない。一方は 3.11東日本大震災5周年の「追悼・支援のチャリティーコンサート」という「ローカルイベント」だが、他方は2000年の長きにわたって互いに反目し対立してきたユダヤ教とキリスト教の和解の鍵を握る 「世界史的な重大イベント」 だ。
キコには東京でのシンフォニー上演に特別な思い入れがあったが、より高い次元から見ればどちらが優先するかは火を見るよりも明らかだった。たまたま、東京キャンセルの間隙を縫って韓国公演が滑り込めたのは、いわばただの偶発的幸運に過ぎなかった。
混乱というか、悲劇と言うべきか、それはユダヤ教のお祭りに太陰暦で移動するものが多いことから起こった。運悪くユダヤ教の祭り「ラグ・ボメール」がその一つだった。今年は5月5日だったその祭りが、2016年は5月25日に祝われることが判明したのは、不幸にも東京にキャンセルの指示を出した後だった。25日なら7日のサントリーホールとはもともと競合しなかったのだ。
しかし、一旦キャンセルしたものを元に戻すのは、不可能に挑戦するに等しい。こちらの信用はすでに地に落ちている。キャンセル後に他の企画がその日に予約を入れていたら万事休すだ。案の定、リハーサル会場の三日のうち一日が早くもよそに取られていた。それらを調整するのは実に神経のすり減る複雑な作業になりえた。全てが無事復元できたのは奇跡としか言いようがない。
しかし、まだ何が起こるかわからないぞ、という一抹の不安が、この1か月の間、このことをブログに書くのを控えさせた。念には念を入れたほうがいい。キコは、詳細は9月初めのイタリアでの集いで詰めよう、と言った。
さて、一夜明けて今朝、世界中103か所の「レデンプトーリスマーテル神学院」の院長たちの集いで4か月ぶりにキコと顔を合せた。彼は私を見つけて歩み寄ってきて、私の頬髭を優しくなぜながら耳元でささやいた。「東京へ行こう!」彼は私の忍んだ理不尽な苦労の全てを十分に察していたのだ。
この瞬間、心の中にスーッと安堵感が広がった。今度はもう間違いない。と同時に、これは偉いことになったぞ。5月初めイスラエルでの「ラグ・ボメール」の集い以来、まる4か月の時間が空転し、その間に進めるはずだった準備作業は全部積み残されたままだ。残された時間は7か月。コンサートの宣伝。招待客への案内、チケットを捌いて会場をいっぱいにする段取り、200人の演奏家の飛行機の手配。食事。国内の移動。練習場の設営。記者会見。本番の詰め・・・。数え上げれば気が遠くなりそうだ。7日のサントリーホールの他、9日の福島公演もある。二正面作戦だ。
ど素人の私一人では逆立ちしても対応しきれない。是非、大勢の善意の人たちの知恵と力を借りなければ、成功はとてもおぼつかない。
皆さん、どうか助けてください!
私は先の「中止」を告げるブログの中で
「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。」
神がおられるのなら、またイエスが本当に復活したのなら、この選択は必ず相応しい実をむすぶはずではないか。
と書いた。それがこんな形で現実になるとは、さすがの私も予想していなかった。
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3.11から5年の節目に
「犠牲者の冥福を祈り、被災者を支援する」チャリティーコンサート
〔本邦初演〕
キコ・アルグエイヨ 作曲
シンフォニー「罪のない人々の苦しみ」全5楽章
トーマス・ハヌス 指揮
キコ・シンフォニーオーケストラ / キコ・シンフォニー合唱団
2012年5月8日ニューヨークフィルの本拠地、リンカーンセンターのエイブリーフィッシャーホールでの演奏風景
東京公演:2016年5月7日(土)6:00 p.m.開演
《サントリーホール》
制作:(株)メイ・コーポレーション (代表取締役:三枝 成彰)
〒106-0032 東京都港区六本木5-16-5 イタリリアル六本木908 (担当:倉田 瑞穂)
TEL: 03-3584-1951 / FAX: 03-3584-1952
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福島公演:2016年5月5日(木)6:00 p.m.開演
《福島県文化センター》
シンフォニー「罪のない人々の苦しみ」公演実行委員会
実行委員会事務局:〒132-0024東京都江戸川区一之江2-21-6 電話:03-6873-4967
実行委員:(中島良能、山内継祐、畠隆章 他若干名)
実行委員長:谷口幸紀 携帯:080-1330-1212