キマグレ競馬・備忘録

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本「スプーンと元素周期表」

2012年02月21日 | Book
学生時代に化学の授業で習った元素周期表は、多くの学生にとってテストの問題を解くための道具くらいの印象しかないかもしれない。
この本は、元素周期表の成立の歴史と化学に纏わる様々なエピソードを紹介したものです。実は元素というのは、日常生活のあらゆる物質を構成する基本単位であり、現象は化学的な要素で説明がつくものが多い。例えば、東日本大震災後の放射性元素の影響は、関東・東北に住む人にとって日常の話題になっており、日々新しい名前の元素名がニュースになっていることでもわかる。
筆者は化学を専攻しながらも、化学史や化学を発展させた人物に興味を持ち、いろいろな面白いエピソードを紹介している。スペースシャトルは、2度の事故で14名の宇宙飛行士を失ったが、その開発段階で2名の作業員が亡くなっているのはあまり知られていない。その原因が、空気の成分として含まれている窒素だったというエピソードは、意外な感じだった。過剰な酸素同様、窒素も人間にとって危険になることもある。
また、南極点一番乗りを目指したスコット隊が遭難した理由は、燃料を保管していた錫の容器にあったという推測も面白い。錫は16℃以下の環境に置かれると、脆くなる性質がある。その知識がスコット隊に無かったことが燃料不足による悲劇につながったと考えられる。
この本の内容は大変解りやすいが、エネルギー関係の話になると昔学校で習った知識ではやや理解できない部分もあった。できれば、高校レベルの化学の知識があったほうが、解りやすいと思う。

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