日本の歴史・民俗学の検証に必要な各地の古文書は、多くが未発見・未調査のままで保管されています。戦後の民俗学に貢献した宮本常一など多くの民俗学者たちは、その農村や漁村の古文書を収集・整理して資料館設立を計画していました。しかし、全国から大量の古文書を借用したまま、事業は打ち切られてしまいます。
著者は、宮本等から調査・返却を委託され、各地を廻って返却に赴くうちに、従来の見方とは違う歴史認識を持つようになります。第2章にある対馬での体験は、日本の成り立ちに対する彼の仮説を裏付けるような体験でした。それまで日本は島国であって、他の国との交流が少ないため、独自の文化を発達させたという定説でしたが、対馬と朝鮮との距離を体感すると、必ずしも日本は「島国」ではなく活発な大陸との交流が可能であったとの認識に至ります。そこに介在するのは海民と呼ばれる漁業を生業とする人達で、それは日本各地に分布し、文化の担い手でもあって「日本人は農耕民族」という認識では説明できないことが多いとの確信をもつことになります。古文書返却の旅は、日本人の生き方と歴史を考える旅でもあったようです。
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