キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「昔はよかった病」

2017年11月14日 | Book

昔は良かったと言う高齢者は多いが、それは錯覚であって、よく検証してみると現代と比べてそれほど良かったわけではないというのが著者の主張。社会学の観点から、当時の新聞や統計等の情報を基に当時の社会風俗について考察する。
エッセイ風の軽い文章で気軽に読めて面白かった。日本の社会も数十年前は、社会環境も人々のモラルも低くて、犯罪も多発し、欲望剥き出しの人々も沢山いたようだ。確かに社会全体としてみれば、今よりも劣悪な環境だったことがよく判る。現代の若者がその時代に行くと、これが日本かと思う位違和感を感じるだろう。
でも昔は良かったと思う高齢者の多くは、自分の経験の範疇のものであり、日本社会全体を言っているかどうかは判らない。自分の両親も高齢者だが、昔は大変だったという話しか聞かない。例えば日本が好調だったバブルの時代に良い想いをした人は、昔は良かったと懐かしむ気持ちもあると思うけれど、社会に出たばかりの自分は、給料が安いのに家賃も物価も高くて暮らし難い嫌な時代だった。昔を懐かしむ気持ちは人それぞれだろう。
ちなみに著者はイタリア人を標榜しているが、おそらく日本人。イタリアの話はほとんど出てこない。イタリア人を装うなら、イタリアとの比較の観点でも考察して欲しかった。


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