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キマグレ競馬・備忘録

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本「宗谷の昭和史」

2021年06月04日 | Book
日本初の南極観測船「宗谷」の物語。
宗谷は、太平洋戦争直前にソ連が発注した耐氷型の商船だった。この船はソ連への引渡し時のトラブルの末、地嶺丸と名付けられて国内で貨物船として使われた。その後、構造の特異性から海軍が特務艦として採用し「宗谷」と命名され、島々の測量業務の担当として太平洋戦争に参加する。戦後は引揚船として多くの邦人を輸送し、その後は灯台の補給船として任務にあたる。宗谷のハイライトは南極観測船としての活躍だが、南極観測隊の送り込みや観測船の選定には紆余曲折があったようだ。製造から20年が経った老朽船だったが、耐氷性能の向上や機関を刷新して南極に向かう。最初の航海で氷に閉じ込められ、ソ連のオビ号に救出されたり、南極に残されたアラスカ犬タロ・ジロの話も宗谷が絡んだエピソードだった。その後、北洋の巡視船として活動した後に退役する。宗谷は、昭和の激動の時代を生き抜いた大変幸運な船だった。この本では宗谷の生い立ちから、船に関わった人々、軍人や戦歴、南極観測隊派遣の経緯など多くの人物やエピソードを紹介していて大変面白かった。
ちなみに、自分は南極観測船としての宗谷は知っていたが、軍艦として太平洋戦争にも参戦し、戦後の引揚船、灯台の補給船として使われたことは知らなかった。この船を製造した川南造船は、母の故郷の長崎・香焼島にあって、自分も長崎生まれということで、この本で知った宗谷にとても親近感を感じた。自分には、本で描かれた出来事に繫がりを求めてしまう妙な癖がある。この本を読んで、お台場に展示されている宗谷を見に行きたくなった。

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