戦史家二人による対談。戦史史料、文書、オーラルヒストリーを基に著者二人が日本軍軍人について語る。 様々な事例をあげながら、旧日本軍の軍人達がどのような人たちであったのかを語っており、大変面白く読めた。 二人とも過去に大戦当時の軍人達に会う機会があり、資料や書き物だけではわからない雰囲気や性格、軍人気質に接することができた。 この先そういう経験を持つ人が少なくなり、史料を読むときに文字に書かれたことだけを鵜呑みにすることを心配している。 また戦史についてはいろいろな本が出ているが、小説家では吉村昭と澤地史枝を高く評価している。 資料との付き合い方や向き合い方が真剣なのだそうだ。
対談では、お互いが触発されて面白いエピソードを披露し、知らなかった事実や見解の違い、俗説への批判、文人たちの考え方などいろいろと勉強になった。
ちなみに私の家系では、祖父が海軍軍人で、輸送船(軍艦ではない)に乗って何度も南方へ行って生還した運のいい人だったらしい。生還しても、またすぐに志願して出掛けたそうだ。
せっかく生きて帰ったのに、すぐに出掛けて行く感覚がよく判らないけれど、軍隊生活が余程性に合っていたのか、或いは故郷の片田舎に帰りたくなかったのかもしれない。
また母方の伯父は、空母「鳳翔」の通信長だった。大戦を生き延びて、 戦後は漁船に乗り、私の父の船で上司になった。元軍人らしく大変恐い人だったらしい。でも若くて真面目な父を大変気に入って、姪を紹介した。その姪が私の母になる。
身内の人たちがあの大変な戦争を生き延びてくれたから、今の自分がある。 この本とはあまり関係ない話だが、祖父や伯父が生きている時にもっと話を聞いておきたかった。