眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

アスリート宣言

2019-08-09 08:48:00 | フェイク・コラム
 物書きはアスリートである。
(人間のやることはみんなスポーツだ)
 長く書き続けていくためには、姿勢が大事なのではないかと思う。負担が少なく、疲れにくい姿勢。あるいは勢いを持って書き進められるような姿勢だ。
 みんなはどんな姿勢で物を書くのだろうか。椅子にかけたり、立ったままだったり、ソファーに横になって、ベッドに仰向けになって、歩きながら、壁にもたれかかって……。姿勢は成果に直結する。

 同じアスリートである棋士を例にみてみる。彼らの対局は長い時には持ち時間各6時間もある。双方使い切って秒読み勝負までいくとすると、半日以上も盤を挟んで戦うことになる。彼らの多くは座布団の上に正座していることが多い。長考する場合には胡座になることもあるが、いざ次の一手を着手する時になるとやはり正座に座り直すようだ。中にはほとんどの時間を正座で通す棋士もいる。また、地蔵のように動かず読み耽る棋士もいるということだ。
棋士の頭の中には将棋盤が入っている。その中で金や銀や飛車や角を自在に動かすことができる。本当は目をつむったまま、寝転がったまま、いくらでも先を読むことができる。それでも背筋を伸ばして長い時間、盤の前に座り続けている。きっとそれが彼らが力を最大限に発揮できる姿勢だからだろう。

 F1ドライバーの運転席は実に窮屈だ。それはくつろぐためのスペースとはわけが違うからだ。彼らに求められるのは極限のスピードだ。車窓から移り変わる景色を眺めて楽しむ、そんな日常的なドライブとはまるで走る世界が違う。より人より速く走るために。無駄な要素を切り詰めた空間の中で、ドライバーは驚くべき姿勢をとっている。

 選ぶべき姿勢は目的によって大きく異なる。
 一口に座ると言っても、座る姿勢はみな同じではない。
 物書きとして長く続けていくために最も適した姿勢は何か。日々それを研究し極めていくことが大切だ。
 物書きたちは今日も街に出かけていく。物書き的な実験を広い心を持って許してくれる、そんな環境を探して。
 
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はないちもんめ夏

2019-08-09 08:08:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
今炊けたご飯を置いて素麺よあなたが欲しい花一匁
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カレンダーをめくれ

2019-08-09 04:30:00 | マナティ
「マナティ、カーテンを開けて」
「ラ」
「タイム・コントロールをかけて」
「ラ」
「マナティ、昨日はどこまで行ったかな」
「15行目までです」
「そうだったか」
「そこで行き詰まってしまったようです」
「そうだな」
「最初に書かれた3行はすぐに消されました」
「あれはどうしようもなかった」
「データが残っています。復元しますか?」
「よしてくれ。2度と見せないでくれ」
「はい。ではそのように」
「お湯は沸いてる?」
「今、沸いたところです」
「ポタージュかなコンソメかな」
「70パーセントの確率でポタージュを飲まれます」
「そうか」
「でも、お好きな方をお選びください」
「では、今日はポタージュにしておこう」
「なるほど」
「まだ体が冷えているようだ」
「マナティ、午後の予定はどうだった?」
「イオンタウンでコーヒーを飲む予定が入っています」
「それは外せないな」
「はい。幸い今日の天気は良好です。最高気温は16℃の予定です」
「それじゃあ、コートはいらないな」
「はい。念のためマフラーを持っていくといいでしょう」
「そうだな。ありがとう、マナティ」
「北風が多少強いこともありそうです」
「うん。夜は何かあったかな」
「遅い夜で結構ですが、カレンダーをめくらねばなりません」
「それは忘れるとこだった。でも、やっぱり忘れそうだ」
「では夜にもう一度お知らせするとしましょう」
「悪いがそうしてもらえると助かるよ」
「それではそのように」
「ああ」
「季節の変わり目は体調管理にお気をつけください」
「ありがとう。マナティ……」
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