あなたは「スキ」に対してときめいたり驚いたりしたことがあるだろうか。「スキ」に対して疑ったり不安を覚えたことがあるだろうか。
軽いスキ。本当のスキ。振り向きざまのスキ。心を込めたスキ。ぼんやりとしたスキ。衝動的なスキ。手が滑ったスキ。アメージングなスキ。挨拶代わりのスキ。存在を告げるスキ。自動的なスキ。プログラミングされたスキ。猫が触れたスキ。なんとなくなスキ。社交的なスキ。考え込んだ末のスキ。お返しのスキ。人違いのスキ。おもてなしのスキ。何でもないようなスキ。おやすみのスキ。
「ここに現れた(スキ)はどういう(スキ)だろうか」
突然現れた(スキ)を前にあなたは当惑している。
もう当然の報酬として受け止められなくなってしまった。
あなたはぼんやりと(スキ)の周辺に思いを巡らせている。その内に(スキ)は目の錯覚だったと気づく。蛍の光に気づく。取り消されたアクションに気づく。立ち去ったフォロワーに気づく。
そして、もう一度あなたは考え始める。
それは「実行されなかった(スキ)」についてだ。
もう少しで(スキ)だったのに……。
ほんの少し何かが足りなくて(スキ)じゃなかった。
「現れなかった(スキ)の向こうにも(好き)はある」
それからあなたは自分を離れて、他人のコラム、他人のポエムの中を、散歩し始める。
もう難しいことは考えない。
受けるより与える方がずっと気楽だ。
思いつくまま、あなたは好き勝手に(スキ)をつけて回る。