眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

スキの熱量

2019-08-01 21:57:00 | フェイク・コラム

 あなたは「スキ」に対してときめいたり驚いたりしたことがあるだろうか。「スキ」に対して疑ったり不安を覚えたことがあるだろうか。

軽いスキ。本当のスキ。振り向きざまのスキ。心を込めたスキ。ぼんやりとしたスキ。衝動的なスキ。手が滑ったスキ。アメージングなスキ。挨拶代わりのスキ。存在を告げるスキ。自動的なスキ。プログラミングされたスキ。猫が触れたスキ。なんとなくなスキ。社交的なスキ。考え込んだ末のスキ。お返しのスキ。人違いのスキ。おもてなしのスキ。何でもないようなスキ。おやすみのスキ。

「ここに現れた(スキ)はどういう(スキ)だろうか」

 突然現れた(スキ)を前にあなたは当惑している。
 もう当然の報酬として受け止められなくなってしまった。
 あなたはぼんやりと(スキ)の周辺に思いを巡らせている。その内に(スキ)は目の錯覚だったと気づく。蛍の光に気づく。取り消されたアクションに気づく。立ち去ったフォロワーに気づく。

 そして、もう一度あなたは考え始める。
 それは「実行されなかった(スキ)」についてだ。
 もう少しで(スキ)だったのに……。
 ほんの少し何かが足りなくて(スキ)じゃなかった。

「現れなかった(スキ)の向こうにも(好き)はある」

 それからあなたは自分を離れて、他人のコラム、他人のポエムの中を、散歩し始める。
 もう難しいことは考えない。
 受けるより与える方がずっと気楽だ。
 思いつくまま、あなたは好き勝手に(スキ)をつけて回る。
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