眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

昨日の祭り(イメージ)

2019-09-16 10:27:00 | 【創作note】
 庭に野生の狸がやってきて、そこから色んな者たちがやってくる。野菜売りがビジネスマンが隣の猫が。同級生がやってきて遠い親戚がゾロゾロとやってくる。
「せっかくだから一緒に」
「ピザを頼みましょう」
「中華もいいね」
「じゃあピザと中華にしましょう」
 花束が届く。一緒に見えたのは幻の蝶。
「もちもちしてて美味しい」
 恩を着た鶴もやってきて一緒にピザをつついている。

「みんな一緒に出かけましょう」
 鶴も猫も遠い親戚もみんな一緒になって街へ。
 ちょうど夏の祭りの真っ最中。華やかな浴衣を着たブラスバンド。ラクダと商人の遠征。亀と落ち葉のレース。カープのパレード。ヌーの行進。カルガモの横断。万博の予行練習。飛行機雲のお絵かき。カブトムシの社交ダンス。羊の大縄跳び。通り雨。

「おかしな天気」
 道には次々と風景が浮かぶ。浮かんでいる途中にも次のイメージが浮かんでくる。絶えず途切れずとめどなく。浮かんでは浮かび、消える刹那に浮かぶ。とらえようとしてもとらえきることはできない。惜しくも手に入らない無数のイメージが続々と押し寄せて、打ちのめされてしまう。
(昨日ならよかったのに。明日にもきてくれればよかったのに……)

 一度に降ってくるイメージは、明日をきっと空っぽにするだろう。
 メダルをつけた選手たちは雨にも濡れない。身につけたシャンパンが雨粒を弾くから。水たまりの底から浮かび上がるシャボン玉。屋根を越えて種々の花となって広がっていく。
コメント
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