「最大で半額!」
(ただで美味しい思いはできないものだ)
まずは規約に目を通して申し込み用紙に記入。会員カードを作成する。それから厨房に入ると皿洗いを手伝った。社訓を暗記してマネージャーに納得してもらう。厨房の清掃が終わるとバックヤードに入って投資ビジネスについて学んだ。猫店長に挨拶を済ませてようやく本題の寿司と向き合うことができた。客になるのも楽ではない。少しつまんだくらいでは話にならない。
「一定の条件を満たしていただく必要はございます」
100貫を食べて注文したビールこそが、半額になる。
なってくれるのだ!
私は腹を叩いて戦い抜いた。
「因みに半額になるのは今日ではございません」
「そんな……」
ここまでさせておいてそんな仕打ち……。
「今日って書いてないもん」
確かにそうだ。
そんなことにはどこにも書いていなかった。
私の解釈がただ空回りしてスシをつまませただけだろう。