線路が細いから電車も細かった。前に座る男の投げ出した脚が僕のお腹を蹴った。僕は遠くに飛ばされた。閉ざされたポメラの上は村の外だった。魔物たちがうろついている。心強いのは勇者の顔が見えたから。魔物が雄叫びをあげる。勇者が剣を振り下ろす。血は流れない。勇者は独特の振りによって人間離れした愛情を植え付ける。憎しみはない。仲間仲間仲間。あるのは何よりも強い仲間意識。それは伝説にある和解の剣に違いない。仲間がいっぱい増えていく。勇者は広く仲間を募っている。魔物たちは減りはしないが誰がそれを気にするだろう。性質も関係性も日々光ある方に導かれていく。成長は望まない。
それは優者のほんの小さな寄り道だった。