眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ソーシャルディスタンス定食

2020-08-08 11:52:00 | ナノノベル
「いらっしゃいませ」
 客は私一人だった。

「はい、お待たせしました」
 目の前にご飯の入った茶碗が置かれた。
 味噌汁は隣のテーブル、魚の皿はあちらのテーブル、酢の物は向こう、サラダは前のテーブル、煮物はあちらの方……。それぞれの物が別のテーブルに置かれている。
 久しぶりに訪れたお店は、徹底したソーシャルディスタンス・ランチになっていた。私が食べる間は、みんな私だけのテーブルだ。

 味噌汁、野菜、魚、ご飯、お茶、味噌汁、ご飯、味噌汁、魚、ご飯、煮物、漬け物、ご飯、お茶、野菜……。
 テーブルからテーブルへ。
 食べまわるハードな食事。
 これならいくら食べてもダイエットになりそうだ。
 店の外では、次のおひとり様が順番をお待ちだ。

(急がないと)

 私は完食を目指して食べまわった。

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