この形、いわずと知れた8五飛戦法で、プロで流行している事はアマでも流行するが、流石に過激過ぎて大人のアマ棋客には敬遠されるが、子ども達には何故か人気で少・中・高と戦いぶりを観戦したが大きな一番に登場している。
研究と終盤力が勝る方が勝つ戦法で、いわゆる知っている事が勝敗分かれ目になる事が多いのも周知の事実。
そこで、あるフィクションを書いてみた。
これから始まる物語は、諏訪のフィクションで実戦からの引用とか定跡書とは一切関係ない事をおことわりすると共に、良い子は真似をしない事を願います。
空中戦に入る前の局面は、決まってこうなり▲2四歩から空中戦が展開するが、その前に一工夫を入れ自ら角を交換してしまう。
後手一手損が存在するのだから、先手で損しても相手の得意な空中戦を回避できるのだから一手の損は、元がとれていると思って挑む事から始まる。
普通に手が流れると、だいたいこんな風になり、一手先行している後手が作戦の岐路に立っている。
棒銀にするか、腰掛銀か、はたまた早繰り銀にするか、暫し悩むが一番経験値が多い棒銀を右手は選んでしまう。
棒銀に来た相手に対して端は受けない、これも棒銀に誘った作戦で△9五銀に▲8八銀と引いて、飛車先は切らすが銀を使えなくする事が布石になっている。
しかし、後手も強い。 9五の銀を引いて8五から再び襲い掛かれば、攻めの銀と守りの銀の交換で作戦勝ちを信じて立て直して来る。
しかし、その強さゆえに▲7七桂と出鼻を挫かれて怒るのである。
一歩千金、桂馬の頭に歩を打つてば勝ちと△7四歩だが、その瞬間に義経の如く▲6五桂と跳ね出しては、もう後手は冷静では居られなくなった。
とりあえず、形良く△4二玉と桂成りを防いで、今度こそ△6四歩で「桂馬の高飛び歩の餌食」とばかりに得意になった瞬間▲3五歩と襲いかかる。
冷静に考えれば、△6四歩で良いのだか、後手は強いがゆえに数手先の決定打が、脳裏に描かれてしまったのが不幸だったが、これは9手目の角交換からセットされた道だから今更修正が効かなくなっている。
その数手先の局面で、「目から火の出る王手飛車」これで終わりと思っていると。
切り返しの▲3七角で、目の前が真っ白となるも、飛車を奪い角を敵陣に成ればと吸い込まれるように破滅の道を歩む。
空中に舞っていた先手の桂馬が、5三の地点へ決め手の攻撃となり、取れば王手馬なので3一へ落ちるも、▲5二歩と辛く守られては、もはや術無し、この後は投げられない悔しさに耐えて差し手を重ねるが、的確に攻められ、あえなく投了となった。