米国株式は2021年もガンガン上がった。毎年よく上がるよね。難しい問題はいっぱい抱えているのにね。
とにかく市場にはカネが余っている。金融機関や一部富豪にはカネがたっぷりあるのだ。株価は上がっているし、通常、富豪の資産の多くが株式なので、時価評価した富豪の資産はますます膨れ上がる。1,000万円をはるかに超えるフェラーリ、アストンマーチン、ベントレー・・・あるいはもっとすごいクルマまで含めた高級車の分野で、2021年は過去最高の販売台数が記録された。世界各国でそうだ。日本でもそうだっちゅうから驚きだ。
そういう人にあやかろうと、私もS&P500(米国の代表的株式指数)のETF(上場された投資信託)を持っていたが、それを売却した。さようなら、S&P500。
野村證券で売り注文。ご覧のとおり、1月12日(水)の注文で、成行売りである。成行(なりゆき)とは「いくらまで上がったら売る」「いくらまで下がったら買う」なんていう欲張り根性は出さず、「野村さん、サッサと売っ(買っ)ちゃってちょうだいね」という素直な注文である。
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日本が1月12日(水)の夜になり、ニューヨークが同日の朝になり、私が持っていたETFの単価は433.56ドル(黄色い枠)で取引が始まった。野村證券はその後さっさと433.59ドルで私の持ち分を全部売ってくれた。
その日結局私のETFの価格は431.17ドル~435.03ドルの範囲で推移した(赤い枠)。終値は大きく書いてあるからお判りのように、433.07ドルである。その後、木曜日も金曜日も株価は下げ基調だ。
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【Source: Yahoo! Finance】
でもなんで全部売ったのか?・・・理由はハッキリしない。いつもわからないのだけれど、一言で言うと、怖いからだ。これだから臆病者は儲からない(笑)。
だって、米国株式市場は10年以上おおむね上げ続けで、一昨年前半のコロナ暴落なんて、後から見ればただの良い買い場が提供されたに過ぎないと言える状態だ。その後もどんどん上昇。ちょっと怖い。
先日発表された12月の米国消費者物価指数(前年比)は7%もの上昇である。
だから中央銀行は超緩和状態の金融政策を徐々に元に戻そうとしている。そうでないと今度はインフレが怖くなってきたからだ。
市場が怖がっているのはその中央銀行が現在の緩和政策を将来中立的なものへと戻す際のスピードや時間感覚だ。
中央銀行が金融引き締めを開始したら株価は下落することが多いと言われる。
さてそれは本当なんだろか?
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【Source: セントルイス連銀、Investing.com】
90年代までなら、たしかにそれは正しい気がする。つまり上のグラフで青い線(中央銀行の金融政策をよく表している短期金利)とオレンジ色の線(株式市場の指数)が逆方向を向いて動く時期が多い。
しかし今世紀入ってからは、どうもそう言えない局面がかなり多いような気がする。
つまり、中央銀行はこれから金利を引き上げようとしているけれど、昨今はそれで株価が下がるとは限らず、私は今売らなくてもいいってことか?・・・とも思うが、怖いからやっぱり全部売ってしまった。
植物由来の肉(みたいなもの)のメーカーであるビヨンド・ミート社の株式1銘柄だけは、まだ持っている。この銘柄は昨年11月11日に急落した時に80.90ドルで買えてしまって喜んでいたら、その後も順調に下がってしまって、私にとっての不愉快なできごとのひとつだ。
下のグラフがここ2カ月ほどの同社の株価推移だ。11月11日は黄色い丸で囲んだところであり、赤い線が私の買値(80.90ドル)である。
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【Source: Yahoo! Finance】
そして今週も株価は冴えなかった。ちきしょう、うまく行かないね。
このデータを取り出した時間は、ニューヨーク時間で金曜日午後2時40分くらいだからまだ市場は開いていたが、今週もこのままだらしなく終わりそうだった。どうも一旦底は見たようなグラフに見えるけれどもね。
かつてグローバルな株式のファンドマネジャーだった先輩は、かなりインフレを心配している。「インフレになったら強いものと言えば、金とか、実物資産かねえ?」なんて二人で話していて「実物って何がいいか?」となり、「ワインとか?」なんて話にもなったが、「ウイスキーがいいんじゃないか!!? ワインみたいに痛んだりしなさそう」と話が弾んだ。こういう気楽な会話は楽しい。
ウイスキー銘柄の指数のデータってのがあるが、日本勢もがんばっている。レアものの山崎(あのサントリーの)はこんなの(↓)。ご覧ください。
カスク投資と言って樽ごとウイスキーを購入して長期熟成させる投資は、昔から盛んだ。寝ているうちにウイスキーは熟成し、何倍もの価値を持つ。
ウイスキーを生産するには人を雇わないといけないし、原材料や光熱費の負担があり、ウイスキー蒸留所は何かと常に資金調達が必要である。しかし長期熟成させた高級ウイスキーを売るのは少なくとも10年あるいはそれ以上先の話で、そこまでおカネは入って来ない。そこで蒸留所は、ウイスキー投資がしたい人々にまだ若いウイスキーの将来の権利を樽のまま売って、その資金を先に得ることがある。
おもしろそうでしょ。
カネが高級ウイスキーにも流れ込む。冒頭の高級車の販売台数が伸びているという話と背景は似たようなもので、基本的におカネが余っているのだろうね(余っているところには)。
普通の愛飲家が買う普通のシングルモルトすら、10年前と比べれば相当価格が上昇している。
一方で安価なブレンドのスコッチはそういう対象にならないようだ。価格は低位に据え置かれたままで、いやむしろ30年くらい前より安いかもしれない。これ(↓)なんて1,000円しないで、うまくすれば800~900円くらいで買える。
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自分で飲むのは、そういうのにしましょう。
今のシングル・モルトって高過ぎる。。。ラフロイグ、好きなんですけどねー。