あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

クロード・ペリ監督の「プロヴァンス物語」前後編を見て

2013-06-08 10:15:36 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.465&466

劇作家マルセル・パニョルの少年時代の思い出「丘の泉」の映画化であるが、南仏プロヴァンス・オーヴァーニュの山岳地方の雄大な景観が素晴らしい。前篇の「プロヴァンス物語 マルセルの夏」では、この手つかずの自然の美しさと楽しさがあふれる山奥の地に、マルセル一家は叔父一家と共にひと夏を過ごす。

叔父と狩猟に出かけた父に手柄を立てさせようとがんばるマルセル少年は、見事幻の巨鳥を撃ちおとさせ村人たちの祝福を受ける。そしてマルセルの親友リリとの交友は感受性豊かな少年の魂に忘れ難い刻印を残したに違いない。

後編の「プロヴァンス物語 マルセルのお城」では主人公のあこがれの美少女イザベルが登場し、マルセルは彼女の我がままに嬉々として従うのだが、初恋に舞い上がる彼の心中に家族は誰も気付いてくれない。

別荘への行き帰りに私有地を無断で通る近道を利用していた一家だが、ついに意地悪な番人に見つかり、マルセルの父は教師を首になるのではないかと心配するが教え子の暗躍で窮地を脱する。やがて成人して映画プロヂューサーとして成功した主人公は、その番人がいた洋館を手に入れ、亡き母や兄弟や親友リリと過ごした甘美な人生のひとときを懐かしく回想するのだった。

どういうわけかあらすじだけを書いてしまったようだが、うっとりと眺めているだけで心がおのずから安らぐような不思議な魅力をもつ映画である。


母上の身まかりし日にふるさとの丹波の山に舞ひしギフチョウ 蝶人
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