「これでも詩かよ」第25番&ある晴れた日に第156回
2013年9月18日の夕刻、鎌倉市議会で観光厚生常任委員会が開催された。
御名御璽、御名御璽
A議員はいった。
障碍者ホーム入居者に対する市独自の家賃援助を、本年度から財政難でカットしたというが、神奈川県の19の市で家賃援助していないのは、鎌倉市と三浦市と南足柄市の3つだけというのは、わが市の名誉にかかわる問題ですな。
障碍課の担当の次長はいった。
私もじつは課長の報告をきいて驚いております。
B議員はいった。
家賃補助を廃止した埋め合わせとなるような、鎌倉市独自の福祉政策って何かあるんですか?
C議員はいった。
障碍を持つ人たちが自立できるように、市はもっと親身になって支援して行く姿勢が必要ですね。それは財政問題とは違う性質の問題です。
しばしの沈黙。
討議が終わり、やがて取り扱いの検討に回された私たちの陳情、妻の渾身の祈りと願いを込めた陳情は、継続審議になるのではないか、という私の予想を、見事に裏切った。裏切った。
なんとなんと、党派を別にする委員5名全員の賛成で、陳情は採択された。採択されたのである!
御名御璽、御名御璽
インターネット中継の画面を自宅で食い入るように見詰めていた私たちは、少し離れた別々の場所で涙を流した。こっそりと、こっそりと。
これは近来稀なる快事だ! 素晴らしいじゃないか。ほとんど奇蹟じゃないか。
まだまだ鎌倉も捨てたもんじゃない。若くても、立派な見識を持った議員がいるではないか。いるいる。
陳情が委員会で採択されてもそのあと本会議があり、本会議で採択されたとしても、コストカッターで知られる抜け目のない辣腕の若き市長が、議会の勧告に従うかどうか予断は許されないが、私たちが最大の関門を突破したことは間違いがない。
御名御璽、御名御璽
やればできる。動けば物事は変わるじゃないか。疲労困憊はしているがぐあんばろう、
老骨突き上げる空にィ!
そうこころで思いながら外へ出ると、台風一過の夜空には巨大なスーパームーンが2つ浮かんでいた。
スタインウェイにあらずヤマハ弾く「教授」に頬緩むその程度の愛国者なり我 蝶人