あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

ジョン・アーヴィング著小竹由美子訳「ひとりの体で」上巻を読んで

2013-12-07 08:43:19 | Weblog


照る日曇る日第638回&「これでも詩かよ」第51番&ある晴れた日に第185回


私たちは、誰もが秘密を持っている。
他人にはけっして明かせない秘密。
墓場まで持っていきたいような秘密のひとつやふたつを。

私たちは、その私だけの秘密を大事にしよう。
なぜならそれは私が私である証しであり、
その秘密を生きることが、掛け替えのない自由であるからだ。

私たちは、自分を知らない。
私は生まれながらに男だと思っていたら、女だった。
女だと思っていたら、男だった。

私はあるときは男であり、ある時は女であり、
あるときは、その両方であり、
またあるときは、そのいずれでもないような何かである。

そんな私ひとりの中にいるさまざまな私を
どこまでも、どこまでも生き抜いてみたら
長い旅路の果てに、はたしてどんな私が現れるのだろう。

私たちの中に隠されていた、さまざまな私。
誰からも知られたくない秘かな欲望。
その秘められた欲望の蠢きこそ、私たちの生きている証し。


なにゆえに君はオギャアと泣かなかったのか いや泣けなかったのだ小町の針谷産婦人科で 蝶人
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