家族の肖像 その3~「これでも詩かよ」第102番
ある晴れた日に 第260回
寒い寒い冬の朝、
大きなお釜の中には、芋と粥がドッサリ。
まず母の愛子さんが、
祖父の小太郎さんの芋と粥とを掬い取る。
次に長男の私と次男と妹の芋粥の芋と粥を、
母の愛子さんが掬い取る。
次に愛子さんが、
父精三郎さんの芋と粥を掬い取る。
今度は祖母の静子さんが、
自分の芋と粥を掬い取る。
それから母の愛子さんが、
自分の芋と粥を掬い取る。
最後に住み込みの女中のお良さんが、
残り少ない芋とお焦げの粥を掬い取る。
寒い寒い冬の朝、
大きなお釜の中は、スッカラカン。
桜の樹のどこいらで鳴いているのか油蝉昔よくオシッコをひっかけられたが 蝶人