あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦二〇一五年四月の歌~「これでも詩かよ」第138番

2015-04-22 12:44:17 | Weblog


田村隆一著「田村隆一全集6」を読んで

ある晴れた日に第301回&照る日曇る日第777回


四月はいちばん残酷な月さ
いままで無料だった町内のゴミ出しが
袋1枚80円の有料になってしまった

四月はいちばん残酷な月さ
ミルクもヨーグルトもケチャップも値上げになって
年金の手取りがみるみる減ってゆく

四月はいちばん残酷な月さ
政権に楯突くキャスターたちが
突如解雇されて路頭にさ迷う

四月はいちばん残酷な月さ
花見酒に浮かれてカッポレを踊っている間に
不戦の誓いがウジ虫に喰われていく

四月はいちばん残酷な月さ
終戦を敗戦、大学紛争を闘争と言い換えていた友が
2015年を平成27年という。

四月はいちばん残酷な月さ
かつて国立競技場を埋め尽くした人々が
スタジアムもろとも滅びていく

四月はいちばん残酷な月さ
桜の樹の下で眠る愛犬ムクが
早く来てねとワンワン吠える


  空は晴れ桜は咲いても心は闇だ四月はいちばん残酷な月  蝶人
コメント
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