田村隆一著「田村隆一全集6」を読んで
ある晴れた日に第301回&照る日曇る日第777回
四月はいちばん残酷な月さ
いままで無料だった町内のゴミ出しが
袋1枚80円の有料になってしまった
四月はいちばん残酷な月さ
ミルクもヨーグルトもケチャップも値上げになって
年金の手取りがみるみる減ってゆく
四月はいちばん残酷な月さ
政権に楯突くキャスターたちが
突如解雇されて路頭にさ迷う
四月はいちばん残酷な月さ
花見酒に浮かれてカッポレを踊っている間に
不戦の誓いがウジ虫に喰われていく
四月はいちばん残酷な月さ
終戦を敗戦、大学紛争を闘争と言い換えていた友が
2015年を平成27年という。
四月はいちばん残酷な月さ
かつて国立競技場を埋め尽くした人々が
スタジアムもろとも滅びていく
四月はいちばん残酷な月さ
桜の樹の下で眠る愛犬ムクが
早く来てねとワンワン吠える
空は晴れ桜は咲いても心は闇だ四月はいちばん残酷な月 蝶人