闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.865、866
○木下恵介監督の「お嬢さん乾杯」をみて
原節子が没落した貴族のお嬢さんに扮してじつに奇妙な味を出している。
彼女に恋した自動車経営者役の佐野周二は喜劇のノリで演じているのに、節子さんは妙に深刻ががかった重い演技でぐあんばっているので、その落差がアンバランスであり、可笑しいといえば可笑しいのだが、要するに1949年製作のおかしな映画である。
私は木下の演出も、木下の弟の忠司の音楽もあまり好きではないが、脚本が新藤兼人なので許してやる。
○吉村公三郎監督の「婚期」をみて
兄嫁の京マチ子と仲の良い長女の高峰三枝子、けむたがって追い出そうとたくらむ嫁入り前の妹の若尾文子と野添ひとみ、京マチ子という妻がありながら見境なしに浮気を繰り返す兄の船越英二、それにこの家の老婢の北林谷栄が織りなすハチャメチャ大騒動なりい。
水木洋子の起伏とユーモアに富んだ脚本がよく出来ていて、一族をまっぷたつにわかつ一大悲喜劇を、切れ味鋭くさばいた吉村演出が光る。
たまにはこういう上質のお笑い家族ドラマがみたいな。
競技場五輪原発戦争法案みな撤廃せよ安倍晋三 蝶人