西暦2015年霜月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op.219
この頃私は、私の生命活動をば限りなく貴重なものと感じ、その微かなゆらぎさえもこよなく慈しんでいるのです。11/1
野党の議員125名が、連名で臨時国会の開催を要求したにもかかわらず、安倍蚤糞は無視している。これは憲法第53条への違反である。憲法に違反し、その定めに従わないものは重罪に処せられなければならない。11/2
「書く」と「考える」は同じことではない。保坂和志「遠い触覚」11/3
管理が障がい者を殺す。長く施設で暮らしている利用者の中には、薬漬けにされて目も体も死人になっている人もいる。11/4
福祉施設の職員さん、いろいろ御面倒をお掛けしますが、お願いだから利用者を自分の都合で「管理」しないようにしてください。もっと利用者の自由と個性を尊重してほしいのです。11/4
てめえが米国の核におんぶにだっこされているくせに、国連でやれ広島だの長崎だの核廃絶だのとアピールしたって、誰も真面目に取りあってはくれないわな。11/5
考えることはわかることだと一般に考えられている。しかしそれは「考える」のすべてではない。保坂和志「遠い触覚」11/6
いつまでもそれについて考えられること、それについて語り続けられるものこそ楽しい。考える時間は終わらないでほしい。保坂和志「遠い触覚」
作家には遠いずっと先にあるイメージ(「遠触」)があるのだが、多くの人はすぐに「遠触」を忘れ、自分の作るものを作品として完成度の高いものにして当座の評価を得ることで満足するようになってしまう。保坂和志「遠い触覚」
ドン・キホーテの蔵書は「百冊以上」としか書かれていない。保坂和志「遠い触覚」
一つの小説や映画についてあっさりと的確なことを語って、次の小説や映画へさっさと移っていくことは思考の機能不全でしかない。保坂和志「遠い触覚」
(小説や映画について)的確なことを語ったと思うその浅はかさは、いずれその人の思考や人生を貧しくすることになるはずだ。保坂和志「遠い触覚」
「お父さんはいったい、あたしと猫のどっちが大事なの?」
「それはおまえももっと猫を好きになればいいんだ。」保坂和志「遠い触覚」
人が思考するやいなやすべてが神秘となる。そして思考すればするほどさらに神秘は深まるのです。アントナン・アルトーby保坂和志「遠い触覚」
「何かを言う」のでなく、「何が言いたいのかわからないが、とにかく何かが伝わってきた」を目指すこと。保坂和志「遠い触覚」
宇宙の中で壮大な音が奏でられている。その音の一角を聴き取れたと感じたときに、ベートーヴェンの中で一つ、交響曲が生まれた。保坂和志「遠い触覚」
「お客さん、同じ白言うても営業車の白なんかと全然違うシロですよ」とセールスマンは力説するが、君それって差別じゃないのか。
「赤いスイートピー」を唄いながらステージに踊り出た松田聖子には、思わず身震いしたけれど、「サティスファクション」を歌うミック・ジャガーには、何の感動も覚えなかったぜ。80年代の武道館の思い出。
それほどおのれの神が尊いか。己を無にし、他人を無にし、世界を無にしてしまう狂気と虚無の神が。11/15
歴代の経営者が一流企業にあるまじきブラックな所業を働いてきたとして社会的な指弾を浴びている東芝が、謝罪と反省のテレビCMならともかく、相変わらず以前と同じ能天気な未来ビジョンを垂れ流しているのはどういう了見なんだろう。11/17
われわれの先祖は、明るい大地の上下四方を仕切って先づ陰翳の世界を作り、その闇の奥に女人を籠らせて、それを此の世で一番色の白い人間と思ひ込んでゐたのであらう。私はわれわれが既に失ひつつある陰翳の世界を、せめて文学の領域へでも呼び返してみたい。
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」
「あなたの代表作はなんですか?」と聞かれて「いま取組んでいる作品です」と答える創作家が多いが、これは額面通りに受け取るべきだろう。
創作家がいくら過去に恐るべき傑作を生みだしていたとしても、それはもう絶対に取り戻せない過去の己の産物である。傑作であろうがなかろうが、彼は今現在の自分に可能なものしか作れないのだ。
目や耳や手足が悪い人や私の息子やあなたのように脳の悪い人もいっぱいいるのが世の中というもの。この世に障がい者は不要で、健常者だけの社会にしたいというのでは、ヒトラー張りの優性思想の持主と言わざるをえない。11/20
最高法規を守らない政治家は、万死に値する。11/21
人と人との勝ち負けは理智に依ってのみ極るのではなく、そこには「気合ひ」と云ふものがあります。云ひ換へれば動物電気です。谷崎潤一郎「痴人の愛」11/28
氷盤上の時分の花が、いまを盛りと咲き誇っていた。フィギュアスケート世界最高得点の羽生結弦選手。11/29
倫理学の見地においても、悪は善の結果にほかならない。事実、悲しみはよろこびから生まれる。エドガー・アラン・ポオ「ベレニス」11/30
時代劇の名悪役として知られたる五味龍太郎静かに逝きたり 蝶人