ある晴れた日に第352回
「わたし、狡いんです。そんな立派な女じゃないんです」原節子は永遠に死なない
おもざしを隠しつつ過ぎたりと妻はいう哀れなるかな昭和の大女優
鎌倉の十二所に住みし柿本さんの眼どんくまさんに似て限りなく優しい
むごたらしく死んぢまったジーン・セバーグちゃんを懐かしく思い出す秋日和かな
シューベルトの「未完成」を聴きながら思うことどんな生も完成している
いつの間にか僕の背中に少年が立つほんにお前はリトル・インディアンずら
お相撲はモンゴルに譲り韓国には野球ゴルフを勝たせてあげよう
九回裏に四点を奪いけり韓国の執念の凄まじさよ
20ポイントのおまけがつきし買物を知らずに買った恨みは深い
一週間におよそ二十の歌を詠むそのほとんどが月並みなれど
月並みにあらざる二、三の歌選び新聞歌壇に投稿するなり
新聞の歌壇に投稿すれどほとんどが没になり入選するは年に数回
鴎外を三百円漱石を九百円で古本屋は売る
東西の正横綱はマンガラジャラブ・アナンダ ムンフバト・ダバジャルガル
美味そうな柿がいっぱい成っている鳥が寄らぬは渋柿のあかし
奥歯痛が世界を圧し霜月尽
バングラデシュの誰かが縫ったユニクロのカジュアルシャツ着てコンビニへ行く
狂信が君を殺して我殺しアラーを殺して世界を殺す
「ケータイくらい充電しとけ」と言い放つそれでもお前は福祉の職員か
こんなに野菜が高いのも暮しが良くならないのもみんなお前のせいだ安倍
これまでも駄目な総理はいっぱいいたけれど今度の奴が一番ひでえや
10年かけてゆるゆるとこの国の農業牧畜業を壊滅させるTTP
鎌倉がくたばる前に私ににくたばらせてよ神よ仏よ
日曜の魔法使いとなりて妻つくる林檎ケーキほど世に美味きものなし
火曜日の危険物ゴミに出されている一本のバナナ 蝶人