娘に「なぜ、若い人は(今回の新型コロナウイルスに)かかっても軽くて済んでるの?」と訊かれた。私は感染症免疫学の専門家ではないから、この方面にはそう明るくはないが、それなりに答えた。
もともと免疫機能が低かったり、糖尿病のように免疫機能が下がってしまう病気であったりとかしなければ、大抵の中高年は滅多に風邪をひかない。私も、鼻水が出るのはこの花粉症シーズンを除けば記憶になく、中年期以降、ひどい風邪の思い出はない。これは、自分の免疫力がピークにあるからだろうと思っていた。だが、新型コロナウイルス 感染症のことを通じ、それが間違った認識だったとわかった。
私が感じていた免疫力の強さというのは、”経験に基づいた”免疫力であって、体がそれぞれの病原体に新たに反応して、新たに抗体を作っているのではない。”経験に基づいた”というのは、これまで罹ったことのあるウイルスに対する免疫力であって、そのウイルスに対する記憶が体にあるので、すでにそこらへんにうじゃうじゃいる様なウイルスは撃退することができる。若いうちに散々風邪をひいて、体が”経験”を獲得していたのだ。”経験値の高さ”で各種ウイルスの攻撃を撃退してきていたのだ。でも、これが全く新規のすなわち新型コロナウイルスとなると話が違う。新規の病原体に対する免疫経験はない。未知のウイルスに襲われたら、たちどころに感染してしまう。そして、感染拡大の問題となっているのは新規病原体に対する対応力。
子供・若者はしょっちゅう風邪をひく。それは、彼らの世界が広がるにつれ、新たな病原体に出会うから。その度に風邪をひくが、なにせ若いから抗体産生能力が高い。大学生の頃、風邪をひくとタバコを吸うとまずかったが、それでも吸っていた。それはニコチン中毒だったからだが、タバコを吸っても平気だったし、2、3日でタバコが美味しく感じられる様になって、風邪もやれやれ治ったと感じていた。私が今、20歳代でこの新型コロナウイルス、COVID-19にかかったとしても、あのころかかったほかの風邪と大同小異、大した症状もなく2、3日したら美味しいタバコを吸うことができる様になっただろう。一方、大人はそんな感染に即応する抗体産生能力はない。初対面のウイルスの前になすすべがないのだ。それというのも、反応は若者の半分以下。これじゃあ、抗体ができる前に参ってしまう人が出てきてもしょうがない。
視力聴力筋力のみならず、免疫力も老化する。体の各細胞はおしなべて歳をとる。新型のウイルスが出現したことで、大部分の大人が危機にさらされているということになる。報道でも、感染者として報告されるのは40代以上の人がほとんどだということが、そのことを如実に示している。
なお、タバコの話云々のくだりは娘には話さなかった。
歳を自覚する
免疫についての研究は日進月歩で中途半端にデタラメを書いてはいけないので、これ以上はやめておきます。特効薬は難しいと思いますが、ワクチンができるといいですね。
最近、専門家会議の発表で、普段テレビで見慣れない専門家の人が多く出ていて、ちょっと安心しています。