
ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
鴨長明『方丈記』
夜明けの空は昨日と同じではなく、日の出は少し遅くなる。南アフリカで新たな変異株が確認され、すでにヨーロッパ、オーストラリア、香港に入っているそうだ。詳細がわかるまではしばらくかかるだろうが、危機管理としては最悪の状況を想定して対応する必要があるから皆さん一苦労だろう。無常ということを感じないではいられない日が続く。
すべてのことが平穏無事に過ぎ去っていくということがどれほどありがたいことか、この2ヶ月間を振り返りしみじみ思う。細々とでも日々の営みを繰り返し、やがて老い、死ぬ。そんなごく当たり前と思っていたことがどれほど困難なことであるか、想像することは難しいが現実は苦しく、悲しい。
人生は出会いと別れ、様々な局面で色々な出会いがあり、色々な別れがある。コロナ禍は出会いの機会を減らしたが、別れの機会を極端に減らした。このままの状況が続いていけば、2度と会うことのない人は増えこそすれ、減ることはないだろう。ましてや新たに出会うことなどできるだろうか、寂しいものだ。
人の目に見えるものなど、ほんの些細なことでしかなく、微視的な視点が必要なものから、巨視的な捉え方をしなくてはいけないものまで多々あり、それらを考えると私たちは何も見えていないし、何も知らない。そのことを自覚して生きることが人にとって一番幸せな生き方かもしれない。
今を生きる