こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

春一番とミモザの開花

2016年02月14日 | 日々思うこと、考えること

バレンタインデーの今日、夜中から大嵐。

ものすごくつよい低気圧が通過しているらしく、強風と窓をたたく雨音で何度か目が覚めた。頭も痛い。

明るくなって外を見ると、ものすごい南風。少しだけ窓を開けると外は暖かい。

娘を図書館まで車で送ったが、ものすごい風雨だった。

5月並みまであがった陽気に誘われミモザが咲き出した。これから、花束のようになってくれるのが楽しみだ。

 午後には晴れたが、風は一日中つよかった。

明日は真冬に逆戻り?

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病理所見解説

2016年02月13日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

病理医ドラマ『フラジャイル』(水曜、22時、フジテレビ)、視聴率は9%台で頑張っている。医療ドラマといっても、マニアックな分野の医者が主人公なのでどうなることかと心配していたけど、固定ファンも掴んでどうやらこのままいけそうだ。長瀬智也、武井咲の熱演の賜物だが、少しでも『病理医』という医者を知ってくれる人が増えてくれるような気がして、とにかく嬉しい。

さて、この間の回では、病理医が臨床医に病理所見を解説する場面があった。

最初は、長瀬演じる岸先生がプロジェクターにつなげてある顕微鏡を使ってモニターに病理画像を映し出して、副腎外褐色細胞腫の所見を解説していた。日常の臨床と病理のカンファレンス、最近ではあのような形式がけっこう増えている。顕微鏡と直接つなげるようなシステムが無くても、ガラス標本を丸ごとデータ化するバーチャルスライドシステムというもので検討することもできるようになってきている。もう一つの、というか一般的なプレゼンテーションのやり方として、パワーポイントを使っての標本の提示というのがある。ドラマの中盤で、武井咲演じる宮崎先生が女性外科、婦人科とは違うらしい、のカンファレンスで子宮がんの疑い症例のプレゼンで行っていた形式だ。これは、学会での病理の所見提示の一般的な形式だ。

 

コロ健も、今日は2例、小さな学会(聴衆100人ほど)で病理所見解説を行った。年齢的にはシニアなので、助けてくれる人は最初からいない。

パターンとしては、まず臨床医が患者さんの臨床経過を提示し、臨床的な病態解釈をプレゼンする。そして、病理組織学的な診断の問題点などを質問事項として提示する。病理医は患者さんから採取された病理所見を提示して、病態やら予後やらにつき、調べたこと、考えたことを解説する。

このため、病理医はあらかじめ標本を診て診断をつける。これは、各施設の病理の先生が診断をつけているのでさほど問題になることは無い。それより、エキスパートとして行うのは、病態の解説。その病変、何が原因でおきたのか、特殊な所見があるのならそれはなぜか、などなどを話す。

1例、30分ぐらいかけ、病理はディスカッションを含め20分ぐらいになる。2例も解説すると、けっこうヘトヘトになる。

そもそも難しい症例を持ち寄る。僕の言葉は絶対だ、なんてこと言える症例はない。

ディスカッションもそれなりに盛り上がって、今日はまずまずの出来だったと思う。

ところで、この小さな学会、気に入っているのは会費だけでやっているというところ。製薬会社のバックアップは無い。

参加する先生方はみんな日常臨床に役立てるための勉強をしようと自腹でやってくる。それも、けっこう遠方からも。

だから、臨床と病理のディスカッションは真剣勝負だ。

 たゆまぬ努力

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夢は叶えるためにある

2016年02月12日 | 生き方について考える

夢は叶えるためにある。夢はあきらめるためのものではない。

とっくの昔に誰かがどこかで言ったことがありそうな言葉だけど、私には初めての思いだった。

私は生まれてこの方、夢らしい夢を持ったことが無い。いや、人生の折々その都度夢らしきものが浮かんでは消えていたけれども、それを叶えようとし続けることはしてこなかった。そのことは私のコンプレックスともなっていたけど、持てないものは持てないので、どうしようもなかった。

夢なんてそのうちどこかからふと浮かんでくるものだろうと、最近は忘れがちになっていたのだが、やっとこのことに気がついた。これで私も夢を持つことができるかもしれないと思えて嬉しい。

重力波の発見もきっと

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いつまでも若いと思っていたら

2016年02月11日 | 犬との暮らし

わが家のワンコ達、いつまでも若いと思っていたのだけど、実はそうでもないということを最近実感している。

マルチーズのコロ。今年で8歳になる。人間でいえば50歳。いよいよ私と同い年になった。

半年ほど前に、クッシング病(副腎皮質機能亢進症:ステロイドホルモンが多く出てしまう)を発症して現在は投薬治療中だ。小型犬に多い病気なので、仕方ない。昨日、ホルモン検査を行ったところ、良好とのこと。この先もこれまで通りの治療を受けさせる。

最近、ずいぶん毛が薄くなっていてかわいそうなのだけど、プライドが高い犬なので、そのことでからかったりはしない。ペットというのは不思議なもので、コロは人間の話していることがわかる。 

まあ、コロは私たちそれぞれが苦しいとき、その都度助けてくれてきた子なので、コロが苦しい時は助けてあげるのがすじというものだ。

フラットコーテッドレトリバーのナイトは5歳。人間でいえば40歳目前。

最近では脂肪腫の数が増えてきて、時々歩きにくそうにすることもあるが、手術をするというようなことまでには至っていない。昨日、献血をしたとき、ついでに調べてもらったら8個もあった。それぞれ細胞診をしてくださって、いずれも良性とのことだった。

献血は400ml、体重30キロのナイトには少々キツいような気がする。そのせいだろうか、今日は一日私の横でゴロゴロして、ひなたぼっこしている。まあ、仕方ない。

この間、犬好きの人がやってきて、ナイトのことをなでながら、「犬はいいですよね、でもね。。。」と話しかけて口をつぐんでしまった。

どうやら、もう死んでしまった飼い犬のことを思い出してしまったようで、私もなんといっていいかわからず、しばし互いに黙ってしまった。

 

 最後まで面倒見る

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いくら英語の点数がよくっても

2016年02月10日 | 日本のこと、世界のこと

英語で論文を書いた仕上げに英文校正にだす。私のような非native speakerが書いた英文を、native speakerに英語らしく直してもらうのだ。

そういう私の英語レベルはというと、仕事内容の細かいところまでは難しいけど、専門領域のことなら会話までは大丈夫。論文なら90%程度理解できるが、新聞英語は半分もわからない。そして、書くのは冠詞が滅茶苦茶といったところ。この程度の英語力だけど、中学高校で習った英語が役に立っていることは否定できない。まあ、通っていたのは進学校とはいえ、成績は中の上ぐらいだった。

 

英語教育開始年齢がどんどん低学年化していることについて、いろいろな意見が出ている。将来、英語を使う人にはその準備として意義があるだろうけど、そうでない人の役には立たない。けど、誰が将来英語を必要とするかはわからないので、判断は難しい。ただ、英語が公用語化されない限り、非nativeがいくら英語を学んでも、native speakerにはなれない。正しい英語が使えても、正しいニュアンスとか、今使われている英語が使えるようにはならないからだ。それは、日本語を上手に話す外国人と会話したらよくわかる。また、小さい時からバイリンガルを目指して日本語も英語も同じ程度学んだからといって、どちらも流暢に話せるようにはならない。難しいものだ。

英語教育に関しては課題がいろいろあるだろうけど、1つだけたしかなことは、英語を学校の成績に結びつけている間はなかなか日本人の英語アレルギーは消えないだろうということ。たしかにアメリカに行って、英語が使えないと能力の低い人間として扱われてしまうが、それは世界中どこの非英語圏の人も共通のことだ。

だから、TOEICとかTOEFLといった英語技能検定がある。こういった、公平な英語力を評価する試験をもう少し有効に使ったらどうだろう。学校の定期試験のテストの点数、とか大学入試とかでの差ではなく、英語だけはすべての学生、社会人を同じテストで評価する。英語に学校別、職業別の独自性は不要だろう。技能検定試験のスコアが高い人は高い、そうでない人はそれなりにということだ。

今の教育システムでは、英語ができない→劣等感の増幅→学校生活がつまらない→いじめ、不登校、ということにつながりかねない。それよりは、外部の公的試験のスコアは各自で管理し、学校では英語の授業だけ行えばいい。スコアの管理はもちろん厳重でなくてはいけない。

結局のところ、英語を公用語にするのは難しく、今のまま学校教育で英語が通じるようになる準備をしておくしかないだろう。

グローバル化に備え、すべての日本人が英語を話せるようにしたいのなら英語を公用語化するのが一番手っ取り早く、確実だ。役所や銀行、公共交通機関では英語での対応可能とする。そうすれば、世界中から人が集まってくるだろうけど、日本語が駆逐されてしまわないか心配になる。

われわれ日 本人が日本語を捨てて、英語で生活するようになれば、100年もしたら誰でも英語を当たり前に話すようになる。言葉なんてそんなものだ。ただ、日本語は地上から消滅してしまう。 そんなこと、誰も望んでいない。日本語があって、日本文化がある。言語とはそういうものだ。

まず、日本語を

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お金のことはよくわからないけど

2016年02月09日 | 日々思うこと、考えること

長期金利が初めてマイナス、となった。これは「お金を借りた方が利息をもらえる」という異常な事態だそうだ。

それは、確かにそうだ。お金を借りると利子がついてくる。なんて、夢のような話だが、預けたらマイナス、なんてよくわからない。

もう、お金を銀行に預けても利子で暮らすことなどできないようだ。利子で暮らせるなどというバブル時代は一体なんだったのか。

お金を借りたら利息をもらえるというのなら、どんどん借りて何かしたいところだけど、私のようなサラリーマンに起業は難しい。

お金のことはよくわからない。

あるところにはあるらしいが、持ったことが無いので、結局よくわからない。

 借金は注意深く

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テンプレートを変えてみた

2016年02月08日 | 日々思うこと、考えること

ずいぶん前からだったのかもしれないが、いつの間にかgooブログもテンプレートに自分の写真を貼ることができるようになっていたのを、先週知った。

そこで早速、写真を選ぶことにした。まずは犬の写真を使おうと、いくつか候補を選んだ。

鎌倉の由比ガ浜海岸で撮ったナイトの写真。一時期、Facebookのカバー写真に使っていた。横長だから、この下半分が使えるといいと思っていたのだけど、どうもgooブログの枠内に上手く収まってくれない。 

ナイトの顔ばかりが大きくなって、バランスがよくない。もう一枚の候補はコロとナイトを二階堂の覚園寺(かくおんじ)の山門の前に並べて撮った写真。

コロは可愛いのだが、ナイトがちょっと間抜け面。そして、これまた枠に収まらない。設定画面ではいいのだけど、実際に立ち上げるとだめ。

結局、PC用に新しく使うことにした写真は鎌倉の由比ケ浜海岸のもの。本当はこの写真なのだが、海を入れると下半分が収まらない。結局、青空に雲が浮かんでいるところを使うことになった。これだけではどこの空かわからないけど、きれいな空で気に入っているので、しばらくはこれにする。

 

スマホ版のほうは、しばらくナイトの写真にしていた。鎌倉の隣、逗子海岸で撮った写真。スマホ版のほうはぴったり収まるのだけど、ナイトが真ん中に来て、どうも落ち着かない。それにコロがいないのもどうか。ということで覚園寺の前での写真にした。白い犬と黒い犬だと露出があわず少しピントがぼけている。スマホ版の方が読んで下さる方の数は多いのかも知れず、より良い写真を探すべきかも知れないが、この写真も、気に入っているので、しばらくは使おうと思う。そういえば、ベランダからの夜明けの写真は候補にならなかったのはどうしてだろう。

 考え出すとキリが無い

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病理医になるには(3/3)・・・病理医以外で臨床に関わる医師

2016年02月07日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

医師免許をとったら、みんながみんな”臨床医”として患者さんに直接関わっていくわけではない。医学部を卒業して、医師免許を取得して医療現場に出てから”臨床医”以外の医者というのは病理医だけでなくて他にもいろいろいる。一般病院にいる医者で、病理医以外に患者さんに余接することの無い医者は他にもいる。

ほぼ間違いなくいるのは、放射線科の先生。病理医よりおおいのではなかろうか。胃の透視や、血管造影などの検査を行うので患者さんと接するけれども、そんなに深くは関わらない。ただ、ミスをするとその場で命に関わるので、厳しい仕事だ。

厳しい仕事というと、いったん命をとめてしまう麻酔科の先生はもっと厳しい。患者さんそのものの命に関わっているけれど、患者さんと接するのは手術の前日ぐらい。翌日、手術室で麻酔をかけるときに、患者さんとの接触は確認以外にはあまりない。ただ、ペインクリニックなどを行っている先生はそういったところで、患者さんと接する機会がある。

病理医に似ているけれどまったく違う医者に、臨床検査(専門)医というのがある。患者さんの血液や尿などの成分を調べる。臨床検査医はそれらの検査データの解釈、精度管理を行う。

以上が、一般病院にいるけれどあまり患者さんと接しない医者といえる。放麻病とか、麻放病などといって、一般臨床医には馬鹿にする人もいるけれど、いらない仕事は存在しない。

 

各施設に一人必要と言うわけではないが、稀少疾患の遺伝子検査や生化学的検査を、どこかの大学で検査センター的に行っている医者も多い。さらには、保健所で働く医者もいる。厚生労働省で医系技官として行政に関わる医者もいる。

医者になろうという人は大抵、臨床医になることを思い描いて医学部に進むだろうが、以前、病理医になりたいという高校生が見学に来て、こういう子もいるのかと驚いた。医者と一口にいっても、病理以外にもいろいろな道があるし、それぞれで必要とされている。

このシリーズは、今日で終わり。病理医特集は、後日、『フラジャイル』が終わったあたりで。

 研究者になる人も

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カマキン、大仏、段葛、など

2016年02月06日 | 鎌倉暮らし

ここのところ鎌倉にいろんな変化が起きているので、その辺、といっても私が気がつく範囲のことだけど備忘録的に記録しておきたい。

まずは、カマキン(近代美術館 鎌倉)の閉鎖。このことに関してはつい先日書いたのでそちら(『さよならカマキン』)をお読み下さい。

次は鶴岡八幡宮の段葛の改修工事。一昨年から始まり、いよいよ今春、完成する。フェンスによって囲んでいるが、年末にケヤキのような立派な樹形の桜の木が植わり、中をのぞくと石灯籠も置かれたみたい。

工事は3月いっぱいで終わるということで、春の例大祭はこの新しい段葛のお披露目となる。さぞ盛大なものになるだろう。

もう一つのビッグニュースは、高徳院の大仏の保存・修理工事。1月に始まって、3月初旬には終了するということ。美男“大仏”のお化粧直しが楽しみだ。

あとは、鎌倉情報としていくつかのお店についてご紹介。どれも以前からあるお店だけど、それぞれ私のお気に入りのお店。

まずは、鎌倉経済のずいぶんなところを支えている、鳩サブレーの豊島屋。和菓子店として有名だけど、本店を入ってすぐ左でケーキを売っていた。これを独立させて、ケーキ店として、二の鳥居の向こう側に去年四月、置石というお店がオープンした。

もう一軒はもともと、裏駅の先の今小路のほうにあったroni-unieというお店が去年9月にやはり若宮大路に移った。“置石”の目と鼻の先だ。店頭で売っていたクレープが美味しくて、クレープ屋さんだと思っていたら、本当はジャム屋さんで、瓶を持って行けば量り売りをしてくれるので、よく買いに行っている。

新装開店としては、カリスマカフェ店主として有名な堀内隆志さんがやっている、cafe vivement dimanche。改装の始まる少し前、ちょうどセンター試験の日に、妻と娘と三人でオムライスを食べた。先週末、お店の前を通ったら、中はシートで覆われていた。店名がなかなか覚えられないでいるうちに、我が家では“黄色いお店”と呼んでいたのだけど、改装後は黒っぽい感じになっていた。ナイトが一緒だったので、店の中は今度改めて。

とまあ、盛りだくさんで、鎌倉は古くて新しい街として変貌している。とくにこの春からの鎌倉はとても楽しみ。お時間があれば是非足を運んで来て下さい。

 私も変わろう

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病理医になるには(2/3)・・・病理医とはどんな人がなるのか

2016年02月05日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

先日、友人の33回忌の法事に参列してくださった医療関係者ではない先輩に自己紹介をしたとき、「病理?なにそれ、お前医者なの?」と聞き返された。若いうちはこれでも医者の端くれというプライドがあってへこむことも多かったが、近頃はまたかと「ええ」とだけ答えることができるようになった。テレビドラマフラジャイルの中でも武井咲演じる新人病理医が似たようなことを呟いていた。それにしてもあのドラマ、本当に台詞に無駄がない。そもそも病理医の自己紹介、自分ではどうやっているかというと、「皮膚のホクロとか、胃カメラとかから、病気をとってきて、それがどんなものか、癌かどうかなんていうのを顕微鏡で検査するんですよ」なんてやっている。一般人にわかるのは、ホクロ、胃カメラ、顕微鏡ぐらいしか無いので仕方ない。もう少し突っ込んで、子宮癌検診の細胞診とか肺癌検診の喀痰なんてなると、とたんに理解できる人が少なくなる。ましてや病理解剖などわかろうとしてくれる人はほとんどいない。看護師さんでも、「病理の先生って何やってるんですか」と聞いて来る人は少なくないので、しょうがないだろう。

さて、今日はその、何をやっているのかよくわからない”病理医”になるにはどうしたらいいかという話。以前にも何度か似たようなことを書いている(病理医になるための勉強・・・  )ので、今日はもっと簡単に。

病理医も、臨床医と同じ医師国家試験に合格した医師だということは、昨日書いたとおり。医という字がつくとおり病理医は医者の専門分野の1つである病理学を基本とした診療業務を行う医者だ。内科学が基本なら内科医、それが外科学なら外科医、産婦人科学なら産婦人科医というのと同じだ。

医者になってから各専門、皆同じように専門医を目指すことになるのだが、 病理医になるには、病理専門医を目指して研修する。その道はいくつかある。

初期研修2年(これはほとんどの国家試験合格者がうける)これに4年間、大学とか病理学会認定施設で病理専門医教育を受ける。同時に、3年以上病理学会の会員であること。死体解剖資格を有していること。人体病理学に関する論文、学会報告が3編以上あること。病理組織診断5,000例以上、術中迅速診断40例以上、細胞診経験数報告書1,000件以上。主執刀医として病理解剖を40例以上経験していること。病理組織診断・細胞診・病理解剖に関して指定された講習会を受講していることが必要となる。

書いてみると、けっこう面倒くさそうだが、面倒なのは書類を揃える時だけで、それなりの施設で普通に仕事をしていれば問題なく資格はクリアできる。

私が受験した頃と変わってるのは、そもそも初期研修というシステムが私の頃は無かったというのと、病理解剖の必要経験数が半分になっているということか。医者になってから受験できるまで7年もかかるというのは、ちょっと長いような気がするが仕方ない。ここにいたるまで、ストレートで来る人もいるけど、臨床をやってきたり、研究をやってきたりする人などいろいろいる。

病理医の専門医試験が難しいのかどうかよくわからない。私が研修した大学病院病理診断部の部長は世界で一番難しいと言って、受験前の私たちをびびらせたが、外国の専門医試験を受けたことが無いのでよくわからない。その部長は米国への留学経験があったので、ご存知だったのかもしれない。まあ、国家試験よりははるかに難しいが、真面目に勉強すれば落ちることはない。合格率は80%台。

いろいろな道があります

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鬼はいずこに

2016年02月04日 | 日々思うこと、考えること

立春。まだまだ寒いけれども、いつの間にか日は長くなっている。いよいよ楽しみな春がやって来る。ミツマタの香りが嬉しい。

通勤時、住宅街を歩いていたらほうぼうの家の前に、豆が落ちていた。節分の豆まきの豆だろう。昨夜は、わが家でも親子四人、そろって豆まきをした。

鬼は外、鬼は外、鬼は外。福は内。

豆まきのとき、これまでの私はなにも考えずに漠然と鬼を縁起の悪いもの、忌むべきこと思っていたのだが、鬼とは一体どんなもので、一体どこにいるのか。

そんなことを、急に考えた。

鬼は誰の心の中にもいる。昨日、有名な元プロ野球選手が覚せい剤取締法違反で逮捕された。つい先日には安倍政権の重要閣僚の一人が裏金問題で大臣を辞職した。売れっ子タレントと人気歌手の不倫問題がニュースにもなった。覚せい剤、裏金、不倫。いずれも処罰の対象となったり、倫理的に許されなかったりすることで、少なくともそれなりの立場にある分別ある大人がするべきことではない。捕まったり、非難されたりしている人たちだって、そんなこと判っていた。百も承知だっただろう。けれども心の中に鬼がいた。

鬼に魅入られる瞬間というのは誰にでもある。誰の心の中にも、鬼は小さくなって潜んでいる。そして、鬼はいつも少しずつ顔出している。暗く寂しいとき、感謝の気持ちを忘れて傲慢になったとき、人の気持ちや愛情が見えなくなったとき、思わぬ時に鬼は突然大きくなり、気づいたときには、心の中を支配している。

だからこそ、人間はそんな鬼に心を乗っ取られたりしないように、心を正しく持って生きていなくてはならない。私たちは、鬼を大きくしないために注意深く生きているけれど、それはとても難しく、くじけそうになることだ。

だから、私たちは“鬼は外”と心の中の鬼を払う。そして、春の訪れを“福は内”と喜び、弱くなりがちな心を明るく、楽しく元気づける。

 わが家の前は鳩だらけ

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病理医になるには(1/3)・・・病理診断科にかかわる人

2016年02月03日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

フジテレビで水曜夜10時から放映されているテレビドラマ、『フラジャイル』。主演の長瀬智也がカッコいい病理医を演じている。このテレビドラマ、もともとは、アフタヌーン連載のコミックだった。

ところで、その病理医って、結局なんなの?テレビを観ていてもよくわからない。長瀬智也演じる病理医は顕微鏡の双眼鏡みたいな穴を覗いているだけ、これ一体なにやっているの?というのが正直な感想だろう。病理医についての詳細は、そのうちまとめて書こうと思っているので、まずは「病理医になるにはどうしたらいいのか?」ということだけ紹介する。 ドラマをご覧になっている方も少なくないと思うので、少し登場人物にも絡めておく。 いきなり病理医の岸先生(長瀬智也)について説明しても、わけがわからないので、これは後日に回すとして、まずはわかりやすい臨床医について。

 

臨床医という表現が、今日の複雑多岐にわたる医療システムの中で適当なのかはわからない。ただ、一般的に普通の医者を”臨床医”という。

この、”普通の”医者というカテゴリーに含まれるのは、ほとんどすべての開業医と一般市中病院の医者で、外来で病気の人を診て、必要に応じて患者さんを入院させて投薬治療や手術などをする。医者の職場については医療法というのがあって、いろいろ細かく分かれていて、難しいのでここでは省略する。

この”普通の”というか一般的な医者は、内科医、外科医(テレビドラマでは小雪が演じている、細木先生。昔は男の職場といわれていたけど、最近では女医が増えた。)、小児科医、産婦人科医、耳鼻科医、眼科医、皮膚科医、整形外科医、さらには美容外科医まで多岐にわたる。なお、歯科医は医師法でいうところの医師(医者)ではない。

こういった医者になるにはご存じのとおり、医師国家試験に合格しなくてはいけない。医師国家試験は学校教育法に基づく大学、すなわち医学部で、医学の正規の課程を修めて卒業しなくては受験できない。あと、あくまでも日本において医術を行うための資格で、外国の医学部を卒業してから日本の医師国家試験を受験するという方もおられるが、これについては別の試験を受けることになる。臨床医というのは、この日本の医師国家試験に受かって医師となった医者の一つの呼称であって、これにはいろんな科の医者が含まれ、”医者”というくくりからすれば、”病理医”もこれに含まれることとなる。

そして、臨床医と病理医の関係は、臨床医が患者さんから採取した検体を診断してくれるよう病理医に依頼する、というようなものだ。なお、この時の検査費用は、臨床医が払うのではなく、患者さんが払うので、臨床医が病理医を雇っているとかそんなのではない。

次に、病理医にとって大切なパートナーが、臨床検査技師(テレビドラマでは野村周平が演じている、森井君)だ。医師法と同様、”臨床検査技師などに関する法律”、というのがあって、臨床検査技師国家試験に合格して、臨床検査技師の資格を取得しなくてはいけない。病理では臨床検査技師は患者さんから採取された組織を標本にしたり、痰や子宮の細胞の検査のスクリーニングをしたり、病理解剖の介助をしたりする。よく、病理医は臨床検査技師と区別がつかないといわれるが、臨床検査技師は病理医とは役割が違って、病理診断をすることはしない。

 病理診断科にかかわる医療従事者は以上の通り。病理医、臨床医、臨床検査技師で終わり。ときどき、看護師さんが検体を運んでくるけれど、病理診断科の仕事に直接かかわることは、あまりない。だから、医者になったら職場で看護師さんとお近づきになりたいなんていう下心のある医学生や研修医がいたら、病理医になるのはおすすめしない。

 今夜(の放送)も楽しみ

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病理医コミック『フラジャイル』・・・2016年1月の読書記録

2016年02月02日 | 読書、映画、音楽、美術

病理医が主人公のコミック『フラジャイル』は、毎週水曜午後10時からフジテレビで放映中のテレビドラマ『フラジャイル』の原作。主人公の病理医を演じ る、長瀬智也、新人病理医を演じる武井咲の熱演もあって、毎回面白く観ている。コミックは5巻まで出ているようだけど、続刊を読むかどうしようか。いつの間にか、コミックというそのものが読めない体になっていた。若い頃はあきれるほど読んでいたのに・・・人間変われば変わるものだ。

『モナドの領域』は、筒井康隆「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長編」だそうだ。「おそらく」とあるので、「予想を覆して」もあるのだろうが、おそらくこれで最後だろうと思って読んだ。感想は読書メーターの感想欄、255文字以内におさめようとしたのだが、ちょっと足りなかった。

繰り返される悲惨な紛争、難民・人口問題、食料問題、エネルギー問題からはては大臣の汚職疑惑、芸能人の不倫騒動まで。世の中にはこれでもかというほどいろいろなことが起きている。そんな、私たちの世界、創造主はなにを考え、私たちを生かしているのだろう。

でも、創造主はきっと、私たちのこと、私たちを含めたすべての事象を愛している。人間がこの先どれだけ生き延びることができるのかはわからないけれど、創造主は、私たちのいるこの世界を愛しく美しいものと思っている。私たちが、そのことに気がつけば、お互いもう少し優しく、譲り合って生きていけると思うのだけど。

2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:613ページ
ナイス数:146ナイス

モナドの領域モナドの領域感想
いかなる文章も書いた者の究極の目的は、それを読む者との意思疎通。筒井康隆はこの作品でそれをやってみせた。この作品を読めば、誰もがこの計算し尽くされた世界に取り込まれ、筒井にとっての真の存在となり、美しく愛すべき存在と昇華される。そりゃ、読者なんだから当たり前だ、と虚しく言い返したくなるのもまた計算のうちか。初っ端から筒井ワールド炸裂だけど、読者の期待を裏切りながらウラのウラのそのまたウラまで続く身悶えしそうな”小説”世界は楽しく心地よい。さようなら、筒井サン、これまでありがとう。私たちは幸せです。「ひひ」
読了日:1月22日 著者:筒井康隆


フラジャイル(3) (アフタヌーンKC)フラジャイル(3) (アフタヌーンKC)感想
薬屋さんが絡んでくるのは、ハリソンフォード版『逃亡者』と同じ。病理の世界だけでも、興味深い話はたくさんあるのだけど、それでは漫画として売れないのかな。1巻は病理医が主人公ということで、2、3巻は長瀬智也主演でテレビドラマになるというので読んでみたけど、もういいか。
読了日:1月12日 著者:恵三朗

 


フラジャイル(2) (アフタヌーンKC)フラジャイル(2) (アフタヌーンKC)感想
コミックを読むのは(1)以来。病理医を世に知らしめてくれ、たいへん嬉しい作品です。岸先生のような考えの方もおられるでしょうね。
読了日:1月7日 著者:恵三朗

読書メーター

 あまり読めなかった

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自動改札機のピヨピヨ

2016年02月01日 | 通勤・交通・旅行

乗り換え駅の自動改札機を通ったとき、私の前を通った数人が続けて“ピヨピヨ”という音を立てていた。何気なくその音を聞きながら、自分が通ったらその音がしない。あれ?と思ってタッチし直しても大丈夫。
というところで、私の前を通って行った数人が小学生であることに気がついた。
今日は二月一日。神奈川、東京の私立中学校の入試解禁日だ。それで普段見かけることのない小学生の親子連れがたくさんいたのだ。毎年のことだけど、土日に重なることもあって、忘れてしまうこともある。

この先、数日はこんな親子連れを目にするのだろうが、見ているとこちらまで緊張して、胃がチクチクしてきてしまう。
私立中学校に進むのがいいのか、そんなに無理しなくてもいいのかよくわからない。

私の母校にしても、今は持ち上げられているけれど、昔とは校風はずいぶん変わってしまったようだ。母校の名を高めたのは私たちの先輩であり、その先輩達が作った学校に入って、私たちがさらにもり立てた。母校の今の姿は伝統あってこそのものだが、それが変わってしまったというのはなんとも残念だ。けれどもそれが時代の流れに沿っているのであれば、それでいいのだろう。

改札口の“ぴよぴよ”が通勤時に目立つのも、この2,3日だろう。

いよいよ2月、中学受験のみならず、高校受験、大学受験もいよいよ本番だ。

受験生諸君が平常心を忘れることなく、実力を十分発揮してくれることを祈るばかりだ。

 明日も

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