こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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病理所見解説

2016年02月13日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

病理医ドラマ『フラジャイル』(水曜、22時、フジテレビ)、視聴率は9%台で頑張っている。医療ドラマといっても、マニアックな分野の医者が主人公なのでどうなることかと心配していたけど、固定ファンも掴んでどうやらこのままいけそうだ。長瀬智也、武井咲の熱演の賜物だが、少しでも『病理医』という医者を知ってくれる人が増えてくれるような気がして、とにかく嬉しい。

さて、この間の回では、病理医が臨床医に病理所見を解説する場面があった。

最初は、長瀬演じる岸先生がプロジェクターにつなげてある顕微鏡を使ってモニターに病理画像を映し出して、副腎外褐色細胞腫の所見を解説していた。日常の臨床と病理のカンファレンス、最近ではあのような形式がけっこう増えている。顕微鏡と直接つなげるようなシステムが無くても、ガラス標本を丸ごとデータ化するバーチャルスライドシステムというもので検討することもできるようになってきている。もう一つの、というか一般的なプレゼンテーションのやり方として、パワーポイントを使っての標本の提示というのがある。ドラマの中盤で、武井咲演じる宮崎先生が女性外科、婦人科とは違うらしい、のカンファレンスで子宮がんの疑い症例のプレゼンで行っていた形式だ。これは、学会での病理の所見提示の一般的な形式だ。

 

コロ健も、今日は2例、小さな学会(聴衆100人ほど)で病理所見解説を行った。年齢的にはシニアなので、助けてくれる人は最初からいない。

パターンとしては、まず臨床医が患者さんの臨床経過を提示し、臨床的な病態解釈をプレゼンする。そして、病理組織学的な診断の問題点などを質問事項として提示する。病理医は患者さんから採取された病理所見を提示して、病態やら予後やらにつき、調べたこと、考えたことを解説する。

このため、病理医はあらかじめ標本を診て診断をつける。これは、各施設の病理の先生が診断をつけているのでさほど問題になることは無い。それより、エキスパートとして行うのは、病態の解説。その病変、何が原因でおきたのか、特殊な所見があるのならそれはなぜか、などなどを話す。

1例、30分ぐらいかけ、病理はディスカッションを含め20分ぐらいになる。2例も解説すると、けっこうヘトヘトになる。

そもそも難しい症例を持ち寄る。僕の言葉は絶対だ、なんてこと言える症例はない。

ディスカッションもそれなりに盛り上がって、今日はまずまずの出来だったと思う。

ところで、この小さな学会、気に入っているのは会費だけでやっているというところ。製薬会社のバックアップは無い。

参加する先生方はみんな日常臨床に役立てるための勉強をしようと自腹でやってくる。それも、けっこう遠方からも。

だから、臨床と病理のディスカッションは真剣勝負だ。

 たゆまぬ努力

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