消費税増税論のウソ③ 財政悪化の悪循環に
国と地方の抱える長期債務(借金)はGDPの2倍近く・・・。確かに大変です。
でも問題は歳出と歳入のプライマリーバランスが崩れている事。歳出で無駄を削ることはもちろん、税金を取れるところから取ることが大事です。
それに、非正規などの不安定雇用をなくし、中小零細企業の営業を応援して国民の懐を温めれば、おのずと税収も増えてくるものです。
【ウソ】国内総生産(GDP)の2倍近くまで膨れ上がった国と地方の借金返済のためには消費税増税が不可欠。
【ホント】消費税増税をすればますます借金がふえ、消費税増税と財政悪化の悪循環に陥ります。
現在、日本の国と地方がかかえる借金(長期債務残高)は894兆円(GDP比185%)にも上ります。この額に目を奪われて、「消費税を増税して、すぐにでも借金を返済しなければ」と思い込んでいる人がいます。
中には、「国の借金を支えているのは庶民の貯金なんだから、消費税を上げて借金を減らさないと、貯金が空になる」と心配している人もいます。
口実とは裏腹に
国と地方に巨額の債務があることは確かですが、日本でそれを踏み倒す「デフォルト(債務不履行)」が起こるとは考えられません。消費税率引き上げをねらう野田佳彦内閣も、そんなことは考えていません。「消費税を上げないと庶民の貯金が空になる」などというのは、現実には起こらないことにおびえさせられているだけです。
むしろ「財政健全化」の口実とは裏腹に、消費税を上げることで借金が増えてしまう恐れがあります。1997年に消費税を3%から5%に引き上げたときも、その口実は「財政の健全化」でした。しかし、消費税増税に加えて社会保障の切り捨てで9兆円もの負担増を国民に押し付けた結果、回復しかかっていた経済がどん底に突き落とされ、所得税収も法人税収も下がりました。その結果、借金がむしろ増えてしまったのです。
今回は、消費税率の連続引き上げに加え、年金給付の削減など社会保障の切り捨てで20兆円もの国民負担増になります。経済の底が抜け、税収はさらに落ち込み、借金は増えてしまうでしょう。それをいっそうの消費税増税で補うなら、まさに悪循環が繰り返されるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/be/c8d565b598e2ac390e5c21bb518df527.jpg)
財務省資料から作成。
※債務残高は2010年度は実績見込み、11年度は補正後の数値。
※GDPは2010年度までは実績値、11年度は政府見通しによる
国民の懐を温め
国と地方の借金返済を進めることは必要ですが、いますぐにそのうちの多くを返済する必要はありません。実は欧米諸国も政府の長期債務残高そのものは日本の同程度かそれ以上に増やしています。しかし、欧米諸国では経済が成長し、GDPも増えているので、GDP比での長期債務の伸びは比較的小さいのです。
日本でも国民の懐を温め、内需主導で景気をよくすることで経済が成長するなら、GDP比で長期債務の伸びを止めることができます。さらに税収が増えれば借金の減額にも踏み出すことができるでしょう。
そのために必要なことは、消費税の増税ではなく、応能負担原則に基づいた税制を実現することです。そして、人間らしく働ける労働のルールを確立し、中小企業への本格的な振興策を実施する民主的な経済改革が、財政再建のカギとなります。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年4月6日付掲載
国と地方の抱える長期債務(借金)はGDPの2倍近く・・・。確かに大変です。
でも問題は歳出と歳入のプライマリーバランスが崩れている事。歳出で無駄を削ることはもちろん、税金を取れるところから取ることが大事です。
それに、非正規などの不安定雇用をなくし、中小零細企業の営業を応援して国民の懐を温めれば、おのずと税収も増えてくるものです。
【ウソ】国内総生産(GDP)の2倍近くまで膨れ上がった国と地方の借金返済のためには消費税増税が不可欠。
【ホント】消費税増税をすればますます借金がふえ、消費税増税と財政悪化の悪循環に陥ります。
現在、日本の国と地方がかかえる借金(長期債務残高)は894兆円(GDP比185%)にも上ります。この額に目を奪われて、「消費税を増税して、すぐにでも借金を返済しなければ」と思い込んでいる人がいます。
中には、「国の借金を支えているのは庶民の貯金なんだから、消費税を上げて借金を減らさないと、貯金が空になる」と心配している人もいます。
口実とは裏腹に
国と地方に巨額の債務があることは確かですが、日本でそれを踏み倒す「デフォルト(債務不履行)」が起こるとは考えられません。消費税率引き上げをねらう野田佳彦内閣も、そんなことは考えていません。「消費税を上げないと庶民の貯金が空になる」などというのは、現実には起こらないことにおびえさせられているだけです。
むしろ「財政健全化」の口実とは裏腹に、消費税を上げることで借金が増えてしまう恐れがあります。1997年に消費税を3%から5%に引き上げたときも、その口実は「財政の健全化」でした。しかし、消費税増税に加えて社会保障の切り捨てで9兆円もの負担増を国民に押し付けた結果、回復しかかっていた経済がどん底に突き落とされ、所得税収も法人税収も下がりました。その結果、借金がむしろ増えてしまったのです。
今回は、消費税率の連続引き上げに加え、年金給付の削減など社会保障の切り捨てで20兆円もの国民負担増になります。経済の底が抜け、税収はさらに落ち込み、借金は増えてしまうでしょう。それをいっそうの消費税増税で補うなら、まさに悪循環が繰り返されるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/be/c8d565b598e2ac390e5c21bb518df527.jpg)
財務省資料から作成。
※債務残高は2010年度は実績見込み、11年度は補正後の数値。
※GDPは2010年度までは実績値、11年度は政府見通しによる
国民の懐を温め
国と地方の借金返済を進めることは必要ですが、いますぐにそのうちの多くを返済する必要はありません。実は欧米諸国も政府の長期債務残高そのものは日本の同程度かそれ以上に増やしています。しかし、欧米諸国では経済が成長し、GDPも増えているので、GDP比での長期債務の伸びは比較的小さいのです。
日本でも国民の懐を温め、内需主導で景気をよくすることで経済が成長するなら、GDP比で長期債務の伸びを止めることができます。さらに税収が増えれば借金の減額にも踏み出すことができるでしょう。
そのために必要なことは、消費税の増税ではなく、応能負担原則に基づいた税制を実現することです。そして、人間らしく働ける労働のルールを確立し、中小企業への本格的な振興策を実施する民主的な経済改革が、財政再建のカギとなります。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年4月6日付掲載