大震災2年 被災地に心を寄せて③ 医療費減免 打ち切りで病院遠のく
生活再建の遅れと劣悪な避難生活の中で、被災者は健康悪化と医療費の負担に苦しんでいます。しかし、国は命綱の医療費窓口負担免除を2012年9月末で打ち切り、国民健康保険と後期高齢者医療制度のみ8割を国負担に。2割が被災自治体の負担となり、免除を打ち切る自治体も出ています。
「医療費免除はとても助かります」と話す婁岩さん(右)と友人=岩手県宮古市
国の責任重大
「復興は遅いのに免除打ち切りは早い。なぜ?」―。岩手県保険医協会の医療費負担のアンケート(昨年12月~今年1月)に答えた被災者の声です。
医療費負担への不安が増していることが、前回アンケート(昨年5~6月)との比較で鮮明になっています。
免除が打ち切られても「これまで通り通院する」との回答は70%→50%に激減。「通院回数を減らす」21%→33%、「通院できない」4%→11%と、通院を減らすかやめるとの回答が25%から44%に増えました。
被災者からは、「震災でご迷惑をかけているのに病気になってすみません。主人と一緒に津波で死ねばよかった」という悲痛な叫びがあがっています。
同協会の畠山恒平事務局長は、「先が見えない中、医療費が節約対象になっています。健康は復興のべース。国は免除を復活・継続してほしい」と話します。
同県宮古市の日の出町仮設住宅の嶋崎信子さん(72)は、脳神経科などに通院中「薬代だけで月に1万円。免除がどれだけありがたいか。なければ通院を半分に減らさなければいけません」
同市の中里応急仮設住宅で暮らし、内科などに通院中の袰岩(ほろいわ)政子さん(73)は、「せめて仮設を出るまで国が免除してくれたら。娘は社会保険なので9月で打ち切られて大変です」と話します。
国が8割負担に後退する中、岩手県は一般財源で1割負担し、市町村負担を軽減。13年度も継続します。
一方、宮城、福島両県は現行でも一部負担にとどまり、市町村に重い負担が。福島県では多くの市町村が免除を打ち切りました。
宮城県も3月末での打ち切りを表明し、被災者に不安と怒りが広がっています。石巻市の仮設で暮らす心臓に持病のある女性(71)は、「命に関わる病気ですが、国民年金だけでぎりぎりの生活なので、できるだけ通院を減らすようになると思います。なんとか免除を続けてほしい」と切々と訴えます。
予算が逆立ち
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員らは免除継続を求めて質問し、岩手、宮城、福島各県の党県議団や被災者と政府交渉。岩手県では党県議団が質問や県交渉をしてきました。
斉藤信党県議団長は、こう語ります。「県が来年度も1割負担することは評価できますが、国が13兆円の補正予算を組みながら免除を復活させないのは逆立ちしています。
国が本来の責任を果たすよう求めていきます」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月5日付掲載
阪神淡路大震災の時にも医療費負担の免除はありました。しかしそれはたったの1カ月でしたね。
でも当時は健康保険の自己負担割合は1割、国民健康保険は3割でしたが、高齢者は通院が月に400円、入院は一日300円でした。
通常の自己負担額が、今は当時と比べてけた違いに重くなっています。
阪神淡路の時と比べてはるかに生業の復旧が進まず、その支援のために医療費の負担減免の継続が求められます。
生活再建の遅れと劣悪な避難生活の中で、被災者は健康悪化と医療費の負担に苦しんでいます。しかし、国は命綱の医療費窓口負担免除を2012年9月末で打ち切り、国民健康保険と後期高齢者医療制度のみ8割を国負担に。2割が被災自治体の負担となり、免除を打ち切る自治体も出ています。
「医療費免除はとても助かります」と話す婁岩さん(右)と友人=岩手県宮古市
国の責任重大
「復興は遅いのに免除打ち切りは早い。なぜ?」―。岩手県保険医協会の医療費負担のアンケート(昨年12月~今年1月)に答えた被災者の声です。
医療費負担への不安が増していることが、前回アンケート(昨年5~6月)との比較で鮮明になっています。
免除が打ち切られても「これまで通り通院する」との回答は70%→50%に激減。「通院回数を減らす」21%→33%、「通院できない」4%→11%と、通院を減らすかやめるとの回答が25%から44%に増えました。
被災者からは、「震災でご迷惑をかけているのに病気になってすみません。主人と一緒に津波で死ねばよかった」という悲痛な叫びがあがっています。
同協会の畠山恒平事務局長は、「先が見えない中、医療費が節約対象になっています。健康は復興のべース。国は免除を復活・継続してほしい」と話します。
同県宮古市の日の出町仮設住宅の嶋崎信子さん(72)は、脳神経科などに通院中「薬代だけで月に1万円。免除がどれだけありがたいか。なければ通院を半分に減らさなければいけません」
同市の中里応急仮設住宅で暮らし、内科などに通院中の袰岩(ほろいわ)政子さん(73)は、「せめて仮設を出るまで国が免除してくれたら。娘は社会保険なので9月で打ち切られて大変です」と話します。
国が8割負担に後退する中、岩手県は一般財源で1割負担し、市町村負担を軽減。13年度も継続します。
一方、宮城、福島両県は現行でも一部負担にとどまり、市町村に重い負担が。福島県では多くの市町村が免除を打ち切りました。
宮城県も3月末での打ち切りを表明し、被災者に不安と怒りが広がっています。石巻市の仮設で暮らす心臓に持病のある女性(71)は、「命に関わる病気ですが、国民年金だけでぎりぎりの生活なので、できるだけ通院を減らすようになると思います。なんとか免除を続けてほしい」と切々と訴えます。
予算が逆立ち
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員らは免除継続を求めて質問し、岩手、宮城、福島各県の党県議団や被災者と政府交渉。岩手県では党県議団が質問や県交渉をしてきました。
斉藤信党県議団長は、こう語ります。「県が来年度も1割負担することは評価できますが、国が13兆円の補正予算を組みながら免除を復活させないのは逆立ちしています。
国が本来の責任を果たすよう求めていきます」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月5日付掲載
阪神淡路大震災の時にも医療費負担の免除はありました。しかしそれはたったの1カ月でしたね。
でも当時は健康保険の自己負担割合は1割、国民健康保険は3割でしたが、高齢者は通院が月に400円、入院は一日300円でした。
通常の自己負担額が、今は当時と比べてけた違いに重くなっています。
阪神淡路の時と比べてはるかに生業の復旧が進まず、その支援のために医療費の負担減免の継続が求められます。