憲法から考える 日米同盟と集団的自衛権④ 「対等」の誘惑~従属性が増すばかり
アーミテージ氏(元米国務副長官)らは日米同盟に関する報告書の「続編」を公表し、集団的自衛権の行使や海外派兵の拡大を繰り返し求めました。
劣等感くすぐる
「憲法について日本で行われている議論は、地域や地球規模の安全保障問題への日本の関心の増大を反映するものであり、心強い動きである」(2007年2月の第2次報告「米国と日本・成熟したパートナーシップに向けて」)、「集団的自衛の禁止は同盟にとって障害物である」(12年8月の第3次報告「日米同盟・アジア安定の錨」)
報告書は同時に、日米の「対等性」に言及します。
「ワシントンは、さらに対等な同盟パートナーになるためのさらなる貢献を行おうとする日本を歓迎すべきとの姿勢を明確にしなければならない」(第1次報告書、00年10月)、「日本は、自分自身の防衛に必要な分野でもっと多くのことを適切に担うことによって、同盟をより対等のものにしなければならない」(第2次報告書)、「より強力で、より対等な同盟が求められている」(第3次報告書)…。
これらの言葉は、「敗戦国」という劣等感を抱え、従属的な地位に屈折した思いを抱いていた日本の支配層の心をとらえます。“より積極的な対米貢献こそ日米が対等になる道だ”と思わせました。
アーミテージ氏と第3次アーミテージ報告
植民地的な実態
その典型が安倍晋三首相です。安倍氏は自らの政権構想「新しい国へ」(『文芸春秋』1月号)で、こう述べています。「集団的自衛権の行使とは、米国に従属することではなく、対等になることです。それにより、日米同盟をより強固なものとし、結果として抑止力が強化され、自衛隊も米軍も一発の弾も撃つ必要はなくなる」
米国は日米安保条約第5条(日米共同作戦)により日本を命がけで守るが、日本は米国を守らない「片務的」な同盟だ。だから集団的自衛権を行使して米国を助ければ、日米は対等になるー。これが集団的自衛権の行使を求める典型的な論理です。本当にそうなのでしょうか。
「日本には132もの米軍基地が置かれ、世界戦略の拠点として機能し、日本政府はその維持費を支払っている。むしろ、安保条約6条(米軍への基地提供)に基づく義務を果たしていると政府も説明している」。浦田一郎・明治大学教授はこう指摘します。
「一般的にどの同盟にも、国力の強弱により従属関係が存在する。加えて日本は沖縄の植民地的な実態やさまざまな密約により、他の同盟国にない従属性がある。これを放置して軍事的な役割を拡大すれば、従属性が増すばかりだ」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月6日付掲載
「アメリカと対等な同盟」と言いながら、結局は日本の防衛とは関係のない装備や軍事行動などに日本の軍事費を使わせるってことになるんですね。
安倍さんなどの「まやかし」に騙されてはいけませんね。
アーミテージ氏(元米国務副長官)らは日米同盟に関する報告書の「続編」を公表し、集団的自衛権の行使や海外派兵の拡大を繰り返し求めました。
劣等感くすぐる
「憲法について日本で行われている議論は、地域や地球規模の安全保障問題への日本の関心の増大を反映するものであり、心強い動きである」(2007年2月の第2次報告「米国と日本・成熟したパートナーシップに向けて」)、「集団的自衛の禁止は同盟にとって障害物である」(12年8月の第3次報告「日米同盟・アジア安定の錨」)
報告書は同時に、日米の「対等性」に言及します。
「ワシントンは、さらに対等な同盟パートナーになるためのさらなる貢献を行おうとする日本を歓迎すべきとの姿勢を明確にしなければならない」(第1次報告書、00年10月)、「日本は、自分自身の防衛に必要な分野でもっと多くのことを適切に担うことによって、同盟をより対等のものにしなければならない」(第2次報告書)、「より強力で、より対等な同盟が求められている」(第3次報告書)…。
これらの言葉は、「敗戦国」という劣等感を抱え、従属的な地位に屈折した思いを抱いていた日本の支配層の心をとらえます。“より積極的な対米貢献こそ日米が対等になる道だ”と思わせました。
アーミテージ氏と第3次アーミテージ報告
植民地的な実態
その典型が安倍晋三首相です。安倍氏は自らの政権構想「新しい国へ」(『文芸春秋』1月号)で、こう述べています。「集団的自衛権の行使とは、米国に従属することではなく、対等になることです。それにより、日米同盟をより強固なものとし、結果として抑止力が強化され、自衛隊も米軍も一発の弾も撃つ必要はなくなる」
米国は日米安保条約第5条(日米共同作戦)により日本を命がけで守るが、日本は米国を守らない「片務的」な同盟だ。だから集団的自衛権を行使して米国を助ければ、日米は対等になるー。これが集団的自衛権の行使を求める典型的な論理です。本当にそうなのでしょうか。
「日本には132もの米軍基地が置かれ、世界戦略の拠点として機能し、日本政府はその維持費を支払っている。むしろ、安保条約6条(米軍への基地提供)に基づく義務を果たしていると政府も説明している」。浦田一郎・明治大学教授はこう指摘します。
「一般的にどの同盟にも、国力の強弱により従属関係が存在する。加えて日本は沖縄の植民地的な実態やさまざまな密約により、他の同盟国にない従属性がある。これを放置して軍事的な役割を拡大すれば、従属性が増すばかりだ」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月6日付掲載
「アメリカと対等な同盟」と言いながら、結局は日本の防衛とは関係のない装備や軍事行動などに日本の軍事費を使わせるってことになるんですね。
安倍さんなどの「まやかし」に騙されてはいけませんね。