大震災2年 被災地に心を寄せて⑦ 完全賠償へ 共同し東電・国に向かう
東京電力が原発事故被害の賠償打ち切りを急いでいます。東電は昨年12月に、政府の避難指示区域外の一律賠償を同年8月分で打ち切ると発表しました。とりわけ精神的損害を極めて狭い範囲でしか認めていないのが特徴です。
二重生活続く
馬場真左さん(51)は2011年8月に郡山市中心部の自宅から、同市西部に位置し猪苗代湖に近い湖南町に次女(11)と避難しました。夫は仕事の関係もあり自宅で1人暮らし。家族の二重生活が続きます。
自宅に近い朝日が丘小学校の空間線量は毎時0・158マイクロシーベルト。避難先にある湖南小学校は0・055マイクロシーベルト。(8日の文部科学省モニタリング)馬場さんは「自宅は今でも部屋の中で毎時0・3マイクロシーベルト近い値。自分だけなら夫とともに残ると思うが、娘のことを思うとそうはいかない」と話します。
避難先のアパートは8畳の部屋とトイレ、風呂、台所で家賃は月3万円。テレビ、洗濯機を置いていません。洗濯は週1回、自宅に帰ったときにします。県外に住む長男が震災の影響でリストラにあったこともあり、家族の将来展望が描けない中での節約です。
それでも家賃や新たに買った日用品などでこれまで80万円を超える生活費の増加がありました。
しかし、馬場さんが受け取った東電からの賠償金は精神的損害の8万円と追加的費用としての4万円にすぎません。東電はそれで一律賠償を打ち切るというのです。
しかも、東電は馬場さんのような「自主避難地域」の妊婦と18歳以下以外の住民について、精神的損害の賠償期間を11年4月22日まで、つまり原発事故から43日間しか認めていません。
馬場さんは避難先のアパートで夜中に目が覚め、天井を見つめて「何でここにいるんだろう。何をしているんだろう」という思いにとらわれ、涙が出てくることがあるといいます。
原発事故による精神的苦痛は、放射能の不安が取り除かれ、安心した生活が戻るまで続きます。
原発ゼロ、完全賠償などを求める運動が広がっています=8日、福島市
安心戻るまで
福島では放射能の危険性のとらえ方や避難するかしないかなどをめぐって住民間に、そのことを話しづらい雰囲気があり、反目する事例も出ています。
馬場さんはいいます。
「被害者である住民が考えや感じかたの違いを認め合って、一緒に加害者である国と東電に向かうようにしなくてはいけないと思います。原発は絶対やめてって。これ以上放射能に苦しむ人をつくってはだめだって」
復興・救援 共産党全力
政府は2011年12月に「原発事故収束」宣言を出しましたが、福島第1原発の中心部にはまだ人が立ち入れず、汚染水の処理もできず、収束とは程遠い状況です。
政府と東電はこの「収束宣言」に基づき、原発事故被害を小さく見せ、賠償や被災者支援の打ち切り、原発再稼働を進めようとしています。
福島県の日本共産党は、▽「原発事故収束宣言」の撤回▽県内の原発10基すべての廃炉▽実情にそぐわない賠償基準の見直しを求める署名に取り組くみ、復興と被災者支援に力を尽くしています。
(おわり)
(この連載は、柴田善太、浜島のぞみ、細川豊史、本田祐典、森近茂樹が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月10日付掲載
山本おさむさんの「今日もいい天気 原発事故編」でも、山本さんの福島県岩瀬郡天栄村と埼玉県さいたま市との二重生活が描かれています。
原発事故のために、したくもない避難生活を強いられて、いらぬ出費をして…。そんなこともすべて、国や東電に責任を負ってもらわないといけないでしょうね。
東京電力が原発事故被害の賠償打ち切りを急いでいます。東電は昨年12月に、政府の避難指示区域外の一律賠償を同年8月分で打ち切ると発表しました。とりわけ精神的損害を極めて狭い範囲でしか認めていないのが特徴です。
二重生活続く
馬場真左さん(51)は2011年8月に郡山市中心部の自宅から、同市西部に位置し猪苗代湖に近い湖南町に次女(11)と避難しました。夫は仕事の関係もあり自宅で1人暮らし。家族の二重生活が続きます。
自宅に近い朝日が丘小学校の空間線量は毎時0・158マイクロシーベルト。避難先にある湖南小学校は0・055マイクロシーベルト。(8日の文部科学省モニタリング)馬場さんは「自宅は今でも部屋の中で毎時0・3マイクロシーベルト近い値。自分だけなら夫とともに残ると思うが、娘のことを思うとそうはいかない」と話します。
避難先のアパートは8畳の部屋とトイレ、風呂、台所で家賃は月3万円。テレビ、洗濯機を置いていません。洗濯は週1回、自宅に帰ったときにします。県外に住む長男が震災の影響でリストラにあったこともあり、家族の将来展望が描けない中での節約です。
それでも家賃や新たに買った日用品などでこれまで80万円を超える生活費の増加がありました。
しかし、馬場さんが受け取った東電からの賠償金は精神的損害の8万円と追加的費用としての4万円にすぎません。東電はそれで一律賠償を打ち切るというのです。
しかも、東電は馬場さんのような「自主避難地域」の妊婦と18歳以下以外の住民について、精神的損害の賠償期間を11年4月22日まで、つまり原発事故から43日間しか認めていません。
馬場さんは避難先のアパートで夜中に目が覚め、天井を見つめて「何でここにいるんだろう。何をしているんだろう」という思いにとらわれ、涙が出てくることがあるといいます。
原発事故による精神的苦痛は、放射能の不安が取り除かれ、安心した生活が戻るまで続きます。
原発ゼロ、完全賠償などを求める運動が広がっています=8日、福島市
安心戻るまで
福島では放射能の危険性のとらえ方や避難するかしないかなどをめぐって住民間に、そのことを話しづらい雰囲気があり、反目する事例も出ています。
馬場さんはいいます。
「被害者である住民が考えや感じかたの違いを認め合って、一緒に加害者である国と東電に向かうようにしなくてはいけないと思います。原発は絶対やめてって。これ以上放射能に苦しむ人をつくってはだめだって」
復興・救援 共産党全力
政府は2011年12月に「原発事故収束」宣言を出しましたが、福島第1原発の中心部にはまだ人が立ち入れず、汚染水の処理もできず、収束とは程遠い状況です。
政府と東電はこの「収束宣言」に基づき、原発事故被害を小さく見せ、賠償や被災者支援の打ち切り、原発再稼働を進めようとしています。
福島県の日本共産党は、▽「原発事故収束宣言」の撤回▽県内の原発10基すべての廃炉▽実情にそぐわない賠償基準の見直しを求める署名に取り組くみ、復興と被災者支援に力を尽くしています。
(おわり)
(この連載は、柴田善太、浜島のぞみ、細川豊史、本田祐典、森近茂樹が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月10日付掲載
山本おさむさんの「今日もいい天気 原発事故編」でも、山本さんの福島県岩瀬郡天栄村と埼玉県さいたま市との二重生活が描かれています。
原発事故のために、したくもない避難生活を強いられて、いらぬ出費をして…。そんなこともすべて、国や東電に責任を負ってもらわないといけないでしょうね。