PM2.5大気汚染 国内発生源対策を 国が指針も自治体予算なし
PM2.5(別項)による大気汚染に市民の不安が広がっています。環境省は専門家会合の結果をまとめて2月末、注意喚起のための暫定的な指針を出しました。(浜島のぞみ)
PM2.5の大きさ(東京都ホームページから)
環境省は「今回の事象は大陸からの越境汚染と都市汚染の影響が複合している可能性が高い」として自治体に測定強化を求めています。今回の暫定基準値は1立方メートルあたり日平均値70マイクログラムで、これを超えた場合の行動目安として「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」などとしています。
群馬県では3月上旬から住民に外出時の注意喚起情報を出すことになりました。
同県には現在、ひとつ約400万円の測定器が3台あります。
県環境保全課大気汚染係の田子博係長は「県内に注意喚起情報を出すにはあと最低2台の増設が必要で、早期に整備することになりました。ただ、光化学オキシダントの注意報を出す場合は県内14台で測定したデータをもとにしています。同等の体制にするにはさらにあと9台が必要です」といいます。
しかし測定器購入に国からの財政支援はありません。各県の担当者は「予算の裏づけなしに測定強化を言われても」と頭を抱えます。
「九州とは異なり、関東地方で測定したデータで中国からの影響が主原因になることはほとんどありません」と田子さん。大気汚染物質の測定・分析に15年間、たずさわってきました。田子さんは「発生源を科学的に調べないと必要な対策を間違ってしまう可能性があります。国が自治体の測定データを解析して有効な対策を打ち出してもらいたい」と要望します。
幹線道路をとぎれなく走る車=東京都内
暫定基準は乱暴すぎる
国が暫定日平均値を2倍もの値にゆるめたことを批判するのは、東京大気汚染訴訟弁護団の西村隆雄弁護士です。「そもそも環境基準値は日平均値35マイクログラムです。このレベルを超えると、ぜんそくなど呼吸器疾患や循環器疾患(冠動脈・脳血管疾患、脳梗塞、うっ血性心不全)による受診、入院や死亡が増加することから決められました。暫定基準はあまりに乱暴です」といいます。
西村さんは、東京都が発表しているPM2.5発生源のデータから、都内および関東6県の人為発生源のうち34%を自動車が占めていると読み解きます。
2011年度の東京都における年平均値の測定結果は、自動車排ガス測定局(沿道)12局中で環境基準を満たしたのはゼロ、一般測定局(非沿道)16局中で2局のみでした。
「PM2.5対策としてディーゼル自動車対策や新車の排ガス規制強化、都心部への流入規制、ロードプライシング(流入車課金)の導入による自動車交通総量の削減などの対策が急務です」と西村さんは話します。
自動車排ガス寄与は明らか
50歳でぜんそくを発症した、東京公害患者と家族の会の増田重美事務局長(62)の話
PM2.5は欧米では早くから注目され測定、規制対策がとられてきた汚染物質でした。日本では私たち東京大気汚染訴訟の和解協議で初めて環境基準の設定に向けた検討が約束され、ようやく2009年9月に環境基準が設定され、測定体制の整備が進められてきました。
自動車排ガスの寄与は明らかで、原因物質をとりのぞく対策が必要です。行政が必要な規制や指導をしなければ企業は動きません。
公害の被害防止と根絶一のために設置された環齢境省は本来の役割を果たすべきです。
【PM2.5】
直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質で大気汚染の原因となり、吸い込むと体内の深部に入り込み、肺がんやぜんそくなどを引き起こします。日本では2009年、環境基準を1立方メートルあたり日平均35マイクログラム以下、かつ年平均15マイクログラム以下と決められました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月31日付掲載
PM2.5と言えば中国・北京の大気汚染が問題になっていますが、日本の都市部でも結構深刻な汚染が発生しているんですね。マスコミは中国のことばかり騒ぐので知りませんでした。
かつて60年~70年代に自動車公害が問題になった際に、政府が排気ガス規制をして、自動車メーカーもそれをクリアーする技術を開発しました。当時からくらべると排ガスもずいぶんきれいになっているはずなんですが…。
なにせ、自動車の台数が多いですからね。更なる排ガス規制や自動車の乗り入れ規制などが必要になっているのですね。
PM2.5(別項)による大気汚染に市民の不安が広がっています。環境省は専門家会合の結果をまとめて2月末、注意喚起のための暫定的な指針を出しました。(浜島のぞみ)
PM2.5の大きさ(東京都ホームページから)
環境省は「今回の事象は大陸からの越境汚染と都市汚染の影響が複合している可能性が高い」として自治体に測定強化を求めています。今回の暫定基準値は1立方メートルあたり日平均値70マイクログラムで、これを超えた場合の行動目安として「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」などとしています。
群馬県では3月上旬から住民に外出時の注意喚起情報を出すことになりました。
同県には現在、ひとつ約400万円の測定器が3台あります。
県環境保全課大気汚染係の田子博係長は「県内に注意喚起情報を出すにはあと最低2台の増設が必要で、早期に整備することになりました。ただ、光化学オキシダントの注意報を出す場合は県内14台で測定したデータをもとにしています。同等の体制にするにはさらにあと9台が必要です」といいます。
しかし測定器購入に国からの財政支援はありません。各県の担当者は「予算の裏づけなしに測定強化を言われても」と頭を抱えます。
「九州とは異なり、関東地方で測定したデータで中国からの影響が主原因になることはほとんどありません」と田子さん。大気汚染物質の測定・分析に15年間、たずさわってきました。田子さんは「発生源を科学的に調べないと必要な対策を間違ってしまう可能性があります。国が自治体の測定データを解析して有効な対策を打ち出してもらいたい」と要望します。
幹線道路をとぎれなく走る車=東京都内
暫定基準は乱暴すぎる
国が暫定日平均値を2倍もの値にゆるめたことを批判するのは、東京大気汚染訴訟弁護団の西村隆雄弁護士です。「そもそも環境基準値は日平均値35マイクログラムです。このレベルを超えると、ぜんそくなど呼吸器疾患や循環器疾患(冠動脈・脳血管疾患、脳梗塞、うっ血性心不全)による受診、入院や死亡が増加することから決められました。暫定基準はあまりに乱暴です」といいます。
西村さんは、東京都が発表しているPM2.5発生源のデータから、都内および関東6県の人為発生源のうち34%を自動車が占めていると読み解きます。
2011年度の東京都における年平均値の測定結果は、自動車排ガス測定局(沿道)12局中で環境基準を満たしたのはゼロ、一般測定局(非沿道)16局中で2局のみでした。
「PM2.5対策としてディーゼル自動車対策や新車の排ガス規制強化、都心部への流入規制、ロードプライシング(流入車課金)の導入による自動車交通総量の削減などの対策が急務です」と西村さんは話します。
自動車排ガス寄与は明らか
50歳でぜんそくを発症した、東京公害患者と家族の会の増田重美事務局長(62)の話
PM2.5は欧米では早くから注目され測定、規制対策がとられてきた汚染物質でした。日本では私たち東京大気汚染訴訟の和解協議で初めて環境基準の設定に向けた検討が約束され、ようやく2009年9月に環境基準が設定され、測定体制の整備が進められてきました。
自動車排ガスの寄与は明らかで、原因物質をとりのぞく対策が必要です。行政が必要な規制や指導をしなければ企業は動きません。
公害の被害防止と根絶一のために設置された環齢境省は本来の役割を果たすべきです。
【PM2.5】
直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質で大気汚染の原因となり、吸い込むと体内の深部に入り込み、肺がんやぜんそくなどを引き起こします。日本では2009年、環境基準を1立方メートルあたり日平均35マイクログラム以下、かつ年平均15マイクログラム以下と決められました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月31日付掲載
PM2.5と言えば中国・北京の大気汚染が問題になっていますが、日本の都市部でも結構深刻な汚染が発生しているんですね。マスコミは中国のことばかり騒ぐので知りませんでした。
かつて60年~70年代に自動車公害が問題になった際に、政府が排気ガス規制をして、自動車メーカーもそれをクリアーする技術を開発しました。当時からくらべると排ガスもずいぶんきれいになっているはずなんですが…。
なにせ、自動車の台数が多いですからね。更なる排ガス規制や自動車の乗り入れ規制などが必要になっているのですね。