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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

タックスヘイブンと日本マネー② 関係深める大手銀行

2017-06-04 13:36:37 | 国際政治
タックスヘイブンと日本マネー② 関係深める大手銀行

日本の銀行はタックスヘイブン(租税回避地)を拠点とする投機マネーとの関係を深めています。
現在、日本の銀行は資産運用業務に力を入れています。異常な低金利で貸し付けによる利益が減少し、金融商品販売による手数料収入など本業以外への依存を強めています。メガバンクを中心とする大手金融グループも、資産運用を銀行、証券、信託に並ぶ「第4の柱」(みずほフィナンシャルグループ「2016統合報告書」)に位置づけるなど業務拡大に躍起です。

1・5倍以上に増
その中でヘッジファンドなど投機マネーとの関係を深めているのが特徴です。ヘッジファンドの拠点はタックスヘイブンです。
三菱UFJフィナンシャルグループは13・14年と、相次いでヘッジファンドの管理を手がける資産管理会社(タックスヘイブンである英領バミューダに拠点)を買収し、15年にはヘッジファンド業務を担うスイス金融大手の資産運用部門(ケイマン諸島に拠点)を買収しています。また同年、三井住友信託銀行も、イギリスの世界最大級のヘッジファンド運用会社と業務提携しました。
これらの動きと連動しているのが、日本の銀行からケイマン諸島への資金提供額の伸びです。41兆円(12年12月末、1ドル=110円換算)から65兆円(16年12月末)へと、安倍政権時に1・5倍以上に増えています(グラフ)。ヘッジファンドは投資家から出資を募るとともに、巨額の資金を借り入れてハイリスク・ハイリターンの取引を行うのが特徴です。日本の銀行マネーも、出資や貸し付けとしてヘッジファンドに流れていると考えられます。
今、世界をかけめぐる投機マネーが実体経済を揺るがし、日本でも為替や株価、国債価格(金利)などの変動が大きくなっています。この原因としてタックスヘイブンを経由した日本マネーも一役買っているのです。



三菱UFJフィナンシャルグループの本社=東京都内



金融取引税 金融機関による株式、債券などの金融取引に課税するもの。個人や事業会社は対象外。銀行税は銀行の資産や債務に課税し、リスクが高いほど課税を強化するしくみ。

進む投機課税
世界経済を揺るがした「リーマン・ショック」以降、投機に対して規制と課税を強める努力が、20力国・地域(G20)などを中心に進められています。
欧州連合(EU)では、金融機関による投機的取引の抑制をめざす金融取引税、銀行税の導入が提言され、一部実施に移されています。金融取引税はユーロ圏10力国での導入が合意され(未実施)、フランス(12年)、イタリア(13年)で一部先行導入されています。銀行税は11年、イギリス、フランス、ドイツで導入され、その後税率引き上げも行われています。
一般財源として着実に税収も伸ばし、例えばイギリスの14年の銀行税収入は約27億ポンド(約5千億円)、導入時の約1・7倍となっています。
14年に出された政府税制調査会の報告書(「法人税の改革について」)では、イギリスの銀行税の例を挙げ、「法人税率引き下げの財源確保の一環として」「新税の導入の可能性も検討すべき」としました。しかし、金融取引税を含めて安倍政権は導入に対し後ろ向きです。
ただ注目される動きとして、外務省は貧困や地球温暖化など地球的課題の資金確保をめざす「国際連帯税」として、航空券税とともに金融取引税の導入を財務省に要望しています。超党派の「国際連帯税創設を求める議員連盟」と連携する市民団体の運動の成果であり、粘り強い取り組みが続いています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年6月1日付掲載


ゼロ金利の状態の下、銀行は本来の業務では利益が上がらないと見限って、タックスヘイブンを介した投資に…
ここに課税するのは当然の事。
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