きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

緊迫岩国艦載機移駐② 米軍はどこにもいらぬ

2017-06-12 10:42:49 | 平和・憲法・歴史問題について
緊迫岩国艦載機移駐② 米軍はどこにもいらぬ

米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)への米空母艦載機(神奈川県・厚木基地所属)の移駐計画は2014年までに実施される予定でしたが、市民の粘り強い反対運動が移駐を止めてきました。
「運動の根底にあるのは06年の住民投票で示した民意です」。「住民投票の成果を活(い)かす岩国市民の会」代表で牧師の大川清さん(59)はいいます。
「基地で苦しめられた自分たちの苦しみや痛みを押し付けたくないという厚木の人たちの激励と支援が力になりました。米軍をどこに持っていくかではなく、どこにもいらないという運動が必要です」



自宅の庭に立つ桑原清さん。右奥が岩国基地=山口県岩国市

基地外に基地
艦載機移駐で懸念されるのが、米軍関係者の犯罪、事件・事故の増加です。移駐に伴い、愛宕(あたご)山地域には米軍住宅262戸が整備されています。
「愛宕山を守る市民連絡協議会」世話人代表の岡村寛さん(73)は、「基地の外にまた基地ができる。500台以上の車が通勤などに使われるだろう。事故が起きない保証はない」と話します。
同地域で10年に死亡事故を起こした米軍属は、通勤を除く4カ月間の運転停止ですまされました。岡村さんは「地位協定も改定されず、米軍最優先の政治が行われている。こんなことで市民の安全は守れない。全国と連携して運動をゆるめず続けたい」と話します。
「後ろの山に音が跳ね返ってものすごくうるさい」。滑走路南側に住む「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の桑原清共同代表(78)は、米軍機騒音の激化に不安を募らせます。
市に要請して自宅庭に設置した騒音測定器で、15年4月から10月までで70デシベル以上の騒音発生回数は1042回。最大91・4デシベル(騒々しい工場の中に相当)でした。
日米両政府は、岩国基地の滑走路が約1キロ沖合に移設されるため市街地の騒音が軽減されるとして、艦載機移駐を決めました。しかし、10年5月の新滑走路運用後も市街地での騒音は続いており、市民の苦情は逆に増えています。
防衛省が示した騒音予測図も市街地上空を飛行しないという前提で、市は「生活環境が悪化する状態は生じない」としています。しかし、桑原さんは「今でも基地周辺だけでなく、あちこちで飛んでいる。それが倍になり、どこで訓練するか分からない」と語ります。

爆音被害広く
岩国基地を離着陸する米軍機の爆音被害は岩国市周辺にとどまらず、中国四国地方に大きく広がります。
「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(64)は、「基地の機能を考えたら、岩国市長は広域的に責任がある。岩国市だけが簡単に容認することは許せない」と怒ります。
西部住民の会は先月末、広島県と廿日市市に対し、艦載機移駐の撤回などを日米両政府に求めるよう要請。「訓練区域の市民が一緒になって声を上げていきたい」と話します。
(おわり)(柳沢哲哉)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年6月11日付掲載


愛宕山の米軍住宅。神奈川県逗子市に作られた米軍住宅と同じようなケースです。
基地の外に基地がつくられるようなものです。