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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑪ 契約更新たてに男性上司が「付き合え」 「セクハラ防止」は会社の義務

2019-05-01 11:23:47 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑪ 契約更新たてに男性上司が「付き合え」 「セクハラ防止」は会社の義務
今回は、セクシュアルハラスメント(セクハラ)に関する相談を取り上げます。セクハラは人権問題であり、労働者の働く権利を侵害するものです。男女雇用機会均等法(均等法)は事業主(会社)に、その防止措置を義務付けています。しかし、セクハラ行為を禁止する規定がないことは問題で、禁止規定を明確にした法整備が必要です。

 某メーカーの営業部で契約社員として働いています。最近転勤してきた男性上司(係長)が、「まだ結婚しないの」「彼氏いるの」「スリーサイズは」などとしつこく聞いてきます。昨日は、「契約更新してほしかったら今晩付き合え」と迫ってきました。「今日は都合が悪いので」と言ってとりあえず断りましたが、とても不快で困っています。どうしたらいいでしょうか。




 これは典型的なセクハラですね。係長の発言はいずれも許されるものではありません。直接、本人に「迷惑なのでやめてください」と伝えるか、それが言いにくい場合には上司(課長等)、または社内の相談窓口に早めに相談するのがよいと思います。
均等法上、セクハラとは、①職場で行われる性的な言動に対する労働者の対応により、労働者がその労働条件について不利益を受けること(対価型セクハラ)②その性的な言動により労働者の就業環境が害されること(環境型セクハラ)―と定義されます。事業主には、セクハラを防止するために適切な措置をとることが義務付けられています。(同法11条)
防止措置の具体的な内容は、①事業主の方針の明確化、周知・啓発②相談窓口の設置など、苦情・相談に対応できる必要な体制の整備③事後の迅速かつ適切な対応④相談者等のプライバシー保護、相談や協力をしたことに対する不利益な取り扱いの禁止などです。(2006年厚労省告示615号)
近年、セクハラに対する社会の受け止めや会社の対応も徐々に厳しくなっています。
ある裁判例では、男性上司が女性派遣社員に対して、「もうそんな年になったん、結婚もせんでこんなところで何してんの、親泣くで」などの発言を繰り返したケースがありました。
この上司は出勤停止10日間の懲戒処分と管理職からの降格処分を受け、裁判で「処分は無効だ」と争いました。しかし、いずれの処分も有効と判断されています(最高裁15年2月26日判決)。
ですからセクハラの被害にあったら勇気をもって、上司や相談窓口に相談してください。セクハラ言動が「あったか無かったか」が問題となることもあります。できるだけ、録音、メール、メモなどの証拠を残しておくとよいと思います。
社内での相談などで問題が解決しない場合には、都道府県労働局による紛争解決の援助(事業主に対する指導、勧告など)や調停の制度(均等法17~27条)がありますので、利用できます。
人格権侵害(性的自由の侵害等)や職場環境整備義務違反のケースは、加害者や会社への損害賠償請求も考えられます。その場合は弁護士に相談してください。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月21日付掲載


セクハラ発言やセクハラ行為は、加害者本人にとってみれば軽い気持ちでやっている場合もあります。しかし、被害者の人格や尊厳を傷つける事だと自覚すべきです。
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