きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

予防の虚像 健康は自己責任か③ スーパー官僚の「処方箋」

2019-05-11 18:24:45 | 医療・福祉・介護問題について
予防の虚像 健康は自己責任か③ スーパー官僚の「処方箋」
「自業自得の透析患者なんて全額実費負担にせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」
2016年9月19日、テレビの報道番組の司会を務めていた長谷川豊氏(現日本維新の会参院比例候補)は、自身のブログ(インターネット上の日記)を過激なタイトルで書きだしました。
ブログの内容は、人工透析患者の大半を「自業自得」と切り捨て、透析費用が社会保障制度をむしばんでいると主張するもの。強い批判を浴び、長谷川氏は出演していた全番組を降板しました。



江崎氏は著書『社会は変えられる』で、現在の社会保障制度を崖に転落する寸前の豪華客船と描きます

透析患者を攻撃
それから2年後、一人の経産官僚が1冊の本を出版します。『社会は変えられる』と題した著書でこの官僚は、不摂生が医療費を膨張させている、医療の目的を治療から予防へ移すべきだなどと持論を展開。「糖尿病―不摂生は得?」という見出しの後に、こう続けました。
「人工透析を受けている患者は申請すればそのほとんどが『身体障害者1級』に認定されるため、年間約600万円の人工透析費用だけでなく、他の医療費も無料になります。さらに、公共サービスなどで様々な優遇を受けることができるのです」
著者の名は江崎禎英氏。同氏は著書の発表後、批判を受けるどころか、経産官僚でありながら厚労省医政局統括調整官を拝命。内閣官房健康・医療戦略室次長も務めます。
『エコノミスト』2月19日号は、同氏を政府の予防医療・介護の旗振り役を務める「スーパー官僚」と紹介。著書の帯には「数々の不可能を可能にしてきた現役官僚が示す超高齢社会の『処方箋』」の言葉が躍ります。
江崎氏が攻撃の的にするのが、保険証1枚で医療を受けられる国民皆保険制度です。いつでも医療を受けられることが「人々の中で健康管理の優先順位を劣後させた」と批判。介護保険も「高齢者の『依存』体質を惹起(じゃっき)し、『自律』を大きく損ねた」といいます。
保険証があっても窓口負担が払えないため受診が遅れたり、介護保険から「卒業」させられた高齢者が症状を悪化させたりしている現実は、江崎氏の目には映りません。

後ろに業界の影
医療の目的を予防に転換した先に待つのは、民間保険です。
日経デジタルヘルス(18年9月26日付)の対談で江崎氏は「今後の民間保険では、保険に加入すれば、ただちに生活習慣病や認知症にかかりにくくするサービスが提供されるような商品が増えてくる」と強調します。著書では、民間保険とフィットネスクラブなどヘルスケア産業との連携も提唱。「こうした取り組みが進めば、公的保険はもっぱら事故や感染症など不可抗力のリスクに対応するという保険本来の役割に戻る」と踏み込みます。
公的保険の縮小と対をなす民間保険、ヘルスケア産業の拡大―。社会保障サービスの産業化を成長戦略と位置づける安倍政権が描く、予防政策の未来図です。
江崎氏を知る経産省OBは、同氏が「スーパー官僚」と持ち上げられていることに「特別目立つ人ではなかった」と首をかしげつつ、こう続けました。
「安倍政権の予防政策は金もうけの話。江崎氏の後ろにも保険業界や医療機器メーカー、ヘルスケア業界がいるのではないか」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月8日付掲載


「社会は変えられる」って、いかにも良い方向に、国民の負担が減って健康になるかのようなマヤカシ。
費用の心配なく医療を受けられるのが本来の医療制度の在り方ですが、江崎氏は必要な医療を受けたければ、それだけの費用を負担せよとの事。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする