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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

中国「一帯一路」構想 各国で債務問題表面化

2019-05-13 16:58:53 | 国際政治
中国「一帯一路」構想 各国で債務問題表面化


中国の広域経済圏構想「一帯一路」が具体化しつつあります。4月末に北京で開かれた首脳会議で習近平国家主席は、一帯一路を世界経済の新しいシステムづくりと位置づけました。しかし、各国で過剰債務が表面化しています。米国は一帯一路を自国の利益への挑戦と受け止め、敵対を強めています。
4月26、27両日、北京で開かれた第2回一帯一路首脳会議には、中国側によると、38力国の首脳級と国連、国際通貨基金(IMF)の責任者が参加しました。代表派遣は100力国以上にのぼりました。米国は代表を送りませんでした。
一帯一路は中国から陸路で中央アジア、海路で東南アジア、インド洋、アフリカをへてヨーロッパに至る巨大な経済圏を構築する構想です。目下、鉄道、道路、港湾など物流インフラ建設が中国主導で進められています。
習主席は基調講演で「一帯一路の共同建設はグローバル・ガバナンス・システム(世界的な統治の仕組み)の変革という時代の要請に沿っている」と述べました。同時に何度も強調したのが「国際ルール、基準に従う」「現地に実際に貢献する」「財政上の持続可能性を確保する」「適正な価格」などでした。各地で起きている問題を意識した発言です。



第2回一帯一路首脳会議で演説するロシアのプーチン大統領=4月26日、北京(ロイター)

「債務のわな」
どの国でどのようなプロジェクトが進められているか―一帯一路の全体像は明らかにされていません。融資は中国の金融機関、受注は中国の国有企業が中心です。返済能力を超えた無理な貸し付けで途上国の財政が危機に陥る「債務のわな」が懸念されています。
マレーシア政府は中国政府系企業と共同で進めていた東海岸鉄道計画の中止を今年1月に決定しました。総事業費は810億リンギ(約2兆1500億円)超。昨年5月、政権に復帰したマハティール首相が、中国からの多額の借り入れが国家財政を圧迫すると判断し、前政権が結んだ契約の破棄に乗り出しました。その後、中国が事業費を440億リンギに圧縮することを受け入れて事業継続となりましたが、計画のずさんさが浮き彫りになりました。
ミャンマーでは中国主導で進められた西部ラカイン州の港湾開発計画が昨年、返済への懸念から縮小されました。スリランカでは中国と共同で建設したハンバントタ港が経営的な成果に乏しく、中国が85%出資する合弁企業に港を99年間貸与する事態になりました。
米議会が設置した米中経済・安全保障検討委員会の2018年版報告によると、一帯一路の事業費によって公的債務の国内総生産(GDP)比はラオスで198%、キルギスで132%と倍増します。
同委員会の調査によると、一帯一路のプロジェクトで16年末までの貸付残高と出資額の合計は4322億ドル(約48兆円)。99・3%が中国の銀行、基金です。残りは中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)とロシア、中国などが共同出資する新開発銀行です。
一帯一路首脳会議に出席したIMFトップのラガルド専務理事は「インフラ投資はきちんと管理されなければ問題ある債務増大を招きかねない」と述べました。その上で「中国政府はすでにいくつか手を打っている。債務の新しい持続可能な枠組みは正しい方向への重要な動きだ」と、習主席が「持続可能性」を強調したことを歓迎しました。ラガルド氏によると、すでに「中国・IMF能力開発センター」が設置され、45力国140人以上の職員が研修を受けています。一帯一路の透明化に向けた動きです。

敵対強める米
中国への敵対を強める米トランプ政権は「中国が借金漬け外交で影響を拡大している」(昨年10月、ペンス副大統領の演説)と非難しています。ただ、IMFなど国際金融機関を使って途上国を支配しようとしてきたのは米国自身です。
米中経済・安全保障検討委員会の報告は「一帯一路は米国の利益と価値に対する重大な挑戦になりうる。中国による権威的支配のモデルを輸出することにつながる」と危機感を表明しました。
欧州連合(EU)は一帯一路の不透明性を批判しつつも、鉄道運輸分野での「EU・中国椙互接続」について検討することを4月に合意しました。一帯一路への警戒は緩めていませんが、中国との連携は重視しています。
20年までに投資協定を締結することにも合意しました。イタリアは単独で一帯一路への参加を決めました。
安倍晋三首椙は日本が一帯一路に日本が協力する条件として①開放性②透明性③経済性④対象国の財政健全性の保証―の4条件を示しています。
(山田俊英)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月11日付掲載


中国主導で進められる貿易構想。経済的交流が活性化することは良いことですが、インフラ投資が各国の負担に…。
参加する国々が、相互互恵、ウィン・ウィンになることが求められます。
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